時事青論(27)
2009/10/31
◇ 先日、NHKスペシャルの『ONの時代』を観た。長嶋茂雄と王貞治という時代を超えたスーパーヒーローの50年に、大変懐かしく熱い想いを抱いたのと同時に、長嶋さんと王さんの偉大さを、改めて思い知らされた。私にとって、特に感動的なのは、あれほどのお二方が、スランプや病と闘う姿だ。
◇ 今回の総選挙は、それは厳しいものだった。大勢の方々から、熱いご支援を頂きながらご期待に応えられなかった。何とも無念で申し訳ない思いだ。私は、今回、私なりに厳しい審判を覚悟していた。しかし、それを遥かに上回る結果だった。国民の民意に応えることができなかったことに尽きる。
◇ いま、「マニフェストが絶対」の民主党政権のある閣僚は、役人を前に、「これは国民の命令状だ」と、大見得を切ったという。マニフェストの中には、国民の意見が分かれているものがある。「高速道路の無料化」には多くの国民が反対しているし、「子ども手当」にも首を傾げている人が少なくない。「子ども手当」の予算は、2010年度が2兆3千億円、11度年からは、毎年、5兆3千億円に達する見通しだ。防衛費を上回ることになる。
◇ 子どもは国の宝であり、育児や教育は社会全体で支えるという思いは、私も強く持っている。しかし、民主党の「子ども手当」の理念や制度設計がどうもはっきりしない。なぜ、経済的に厳しい世帯だけでなく、高所得の家庭にまで一律に同額を支給するのか。教育の機会均等の観点から見れば、結果的に、これは格差拡大につながりかねない雑で乱暴な制度と言えないか。
◇ 地方や事業主の負担はどうなるのか。わが国の社会保障は、それを現場で実施する地方自治体の協力が欠かせないし、何よりも事業主の負担によるところが大きく、それによって成り立ってきた。医療にしろ年金にしろ、それは同じである。「国が直接面倒を見る」と言えば聞こえはいいが、実は、国民の税金をたくさん使うということである。従って、「削る、削る」といいながら、いま総予算の増大につながっているのが現実だ。民主党は、この際、国民が納得できる持続可能な制度設計を明らかにすべきだ。
◇ 企業にも応分の負担を願い、頑張れる人は努力をし、困った人を助けるという、自立と扶助と公助によって、きめの細かい政策を立てないと、結局は、将来世代に高いツケを回すことになるのを忘れてはならない。「政治主導」というと、一見、響きはいいが、それが、選挙の際に国民に示したマニフェストだけを掲げて、その正当性を声高に主張し、強引に進めてくると引けてくる。「独善的、独裁的な手法で、この国はどこへ行くのか」と危惧する声もある。
◇ このほど、地元の書家、高瀬霞山先生から『奮飛』(ふんぴ)という素晴らしい書を頂いた。鳥は勢いよく羽ばたいて一気に飛び立つという意味だそうだ。私に対して、何よりの励ましと受け取った。私も、この国、この郷土のため、再び『奮飛』する決意だ。








