「今すぐ、医療、介護の現場の改善に全力を!」
2009/11/28
講演から
(11月7日つくば国際会議場で)
第10回日本医療マネジメント学会茨城県支部学術集会が、11月7日、つくば市のつくば国際会議場で行われ、元厚生大臣の丹羽雄哉氏がこれからの医療・介護の課題とあり方について特別講演を行いました。(講演要旨→)
(→講演要旨)
医療に関して、今、医師不足の問題をはじめ、救急患者の受け入れに時間がかかったり、子供を産める病院がなくなったり、夜間の小児救急がパンクしたりと、国民の命を守る医療提供体制に「ほころび」が生じています。この「ほころび」を一刻も早く修復しないことには、国民の安全・安心を確保することはできません。こうした事態が生まれた背景には、医療の高度化と医療ニーズの増大に医師数が追いつかず、全国的に医師不足が生じているという問題があります。
このため、従来から医師養成数を抑制してきた閣議決定を見直して、医学部の入学定員を、過去最大の人数を超える水準に増加させています。ただ、新たに入学した学生が医療の現場に出てくるまでには10年近い時間がかかります。しかし、医師不足対策は喫緊の課題です。そこで、まず、すぐにでもできることから取り組んでいく必要があります。例えば、負担の大きい救急や産科、へき地の医療を担う医師に対する手当の支給への助成、医師派遣を行う医療機関への支援、育児中の女性医師が勤務しやすい短時間の勤務制度や夜勤明けの連続勤務を行わないようにする交代制勤務を導入する病院への支援などで、ともかく、即効性のある対策も講じていかなくてはなりません。
このような短期的な対策に加えて、地域医療の確保に向けた構造的な対策も当然、必要になっています。皆さん方の周囲にも、手術を前にしてベッドが空くのを待たされたり、手術後の転院先を見つけるのに苦労した経験をお持ちの方がいらっしゃると思います。わが国では病院間の機能分化が不十分であるために、重症の患者を受け入れる急性期医療を担う病院の体制が手薄で、一人ひとりの医師の負担が大きく、救急患者などに十分対応ができない状況となっているのです。急速に進行する高齢化と、日進月歩を続ける医療技術により、質量ともに増大する医療ニーズに応えていくためには、医療機関が役割分担し、連携して重症患者に対する急性期の集中治療、容態が落ち着いた後の治療とその後のリハビリテーション、在宅での療養の支援など、地域の医療機関全体で一つの大きな病院のように機能する体制をつくっていくことが必要になっています。
こうした体制づくりに向けて、今年度の補正予算により、3,100億円(新政権で減額後2,350億円)の「地域医療再生基金」を、各都道府県に設置したところです。私どもは、こうした取り組みを通じて、地域の実情に応じた医師等の確保対策、地域の診療機能の強化対策を進めていきたいと思っています。 2000年に介護保険が導入されてから10年目になります。その介護保険制度が大きく皆さんに親しまれる制度になったことは、大変喜ばしいことです。
ただ、介護は今、人材不足の問題を抱えています。「介護の仕事はやりがいがあるけれど、これでは生活ができない」、「みんな辞めていった。自分は乗り遅れた」。これはある集会で聞いた介護福祉士やケアワーカー、また、デイサービスに携わっている学生さんたちの真剣な訴えの声です。介護の仕事は人間の尊厳に関わる仕事です。しかも今、高齢化が進んで、2025年には現在の2倍の介護職員が必要と見込まれています。介護の現場をもっと魅力あるものにしていかなければ、そして、必要な介護サービスを保障するものにしていかなければ、必要な介護サービスを保障することはできません。
そこで、まず、私たち自民党と公明党が与党であったときに決めた今年度予算で、今年の介護報酬改定として「プラス3%」の改正を行いました。さらに、補正予算で、介護職員の処遇改善のための助成を3年間実施することとし、全国で合計して約4,000億円の基金を設置することとしました。これは、一人あたりの平均にすると15,000円の賃金上昇に相当する額であり、このお金は、交付された金額全額を介護職員の賃金に当てていただく事業者に対して助成する仕組みとなっています。
仕事のやりがいはお金だけではありません。経験の蓄積とともに技能を高め、それに対応してより重要な仕事を任されていくキャリアアップの仕組みがそれぞれの介護の職場で構築されることもまた大切です。資格習得や研修受講の支援、事業所の訪問巡回指導なども行い、介護職員のやりがいと定着を高めることにも取り組みます。私たちは、今後も、このように質量両面から処遇の改善を実現させるために全力で取り組み、介護人材の確保に努力してまいります。








