年金制度は将来に渡って持続可能。国民の不安解消のため、年金記録問題等への取組を
丹羽雄哉委員
自由民主党の丹羽雄哉でございます。今日は、年金、医療、介護など、社会保障の集中審議でございますので、この分野に絞って質問をさせていただきたいと思っております。
急速な少子高齢化社会、そして厳しい財政状況の中で、今、国民の皆さん方が最も関心があるのが社会保障であり、最も不安を感じているのが社会保障ではないか、こう思っております。
そこで、今日は、福田総理、舛添厚生労働大臣をはじめ関係閣僚との議論を通じまして、国民の皆さん方が少しでも将来に向かって安心感を持てるような議論を通して、要するにそういった視点に立って議論を深めていきたい、こういう立場でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、年金の問題でございますが、年金の財政方式をめぐりまして、現行の社会保険方式と、すべての税財源で年金給付を行ういわゆる税方式の論争が最近にわかに活発になってまいりました。この問題につきまして、私なりの考え方、私見を交えながら、政府側の考え方を率直にお聞きしたいと思っております。
今日、国民の皆さん方が一番危惧をしておりますことは、国民年金の未納、未加入問題と、欧米よりは3倍ないし4倍のスピードで急速に進む高齢化の大きな波の中で、特に若い方々の間で、果たしてこのまま給付と負担との関係がうまく回って、将来若い世代が約束された年金をもらうことができるかどうかということではないか、こう思っておるような次第でございます。
まず最初に、この問題に国民の皆さん方が率直に不安を抱いていることに対しまして、総理はどのようにお考えになっておりますのか、御見解をお聞きしたいと思っています。
福田康夫内閣総理大臣
日本は世界に例を見ないほどの急速な少子高齢化が進んでおりまして、社会経済の大きな変化とともに、昨今、年金記録問題といったような年金制度の信頼を失わせるような不祥事もありまして、若い世代の方はもちろんのこと、国民全般に年金制度の将来に対して不安を抱いている、こういう指摘があるのは当然でございます。
しかしながら、年金制度というのは国民の老後生活を支える柱でありまして、特に、昨今のように、経済の成長は昔と比べて2%、3%というようなことになりますので、将来の生活に不安を覚える方は多いと思います。そういう社会経済の変化の中でも持続可能で皆が安心できるものにしていくということは、これは年金制度の必須条件であるというように思います。
そういう意味で、平成16年の制度改正におきまして、長期的な給付と負担の均衡を確保して、制度を将来にわたって持続可能とするための改革を行ってまいりました。
年金制度を国民が安心できるものとしていくためには、喫緊の課題であります年金記録問題、この問題の解決に全力で取り組むということがもう大前提であります。御指摘の未納、未加入の方が生じないように、きめ細かな対応を行っていかなければいけません。また、基礎年金の国庫負担割合について、所要の安定した財源を確促する税制の抜本改革を行った上で、平成21年度までに2分の1に引き上げていくという必要がございます。
こういうような問題に真正面から取り組んで、年金制度を国民の皆様にとって確実で信頼ある制度にしていくようにしたいと思っておるところであります。
税方式年金は、わが国の社会保障そのものを逆転させる
丹羽委員
最近、経済界などの一部から、基礎年金を全額税で賄う、いわゆる税方式を求める声が出ております。また、昨年の経済財政諮問会議でもこの点につきまして議論がなされまして、また、今般総理が立ち上げました社会保障国民会議でも議論がなされているところでございます。
保険料未納問題が解消せず、保険料を払っていても本当に大丈夫なのかどうか、国民の皆さん方が御心配を抱いていらっしゃるのもまた事実でございます。
また、税方式にすればその間題は解消する、こういう指摘もございます。しかし、この間題は、財源構成が変わるという問題と考えてよいのかどうか。私は、そう単純には言い切れない問題ではないか。
まず、自由社会であります我が国におきましては、社会保障のみならず、すべての分野において、まず自立があり、そして次に、お互いに助け合う、総理もおっしゃっておりました共生もそうですけれども、いわゆる連帯と共助があり、最後に国が公助で面倒を見るという仕組みを、長い間、この国のよき慣行にしてまいっております。
65歳になってから税で国がすべて面倒を見るというのは、この考え方そのものと逆転するのではないか。これについて、厚生労働大臣の考え方をお聞きします。
舛添要一厚生労働大臣
今、丹羽委員おっしゃったように、まず自助をやる、そして社会全体で助け合う、これはもう年金だけじゃなくて、健康保険にしても介護保険にしても、同じ思想が貫いているんだと思います。そして最後に公助ということが来ますので、そういう意味では、社会保険方式でやる。そして、すべてを税でということになると、この理想と少し違うかな、そういう気が私はいたします。
税方式は事実上、「生活保護」となり、社会保障の根幹に関わる
丹羽委員
まずいきなり公的な部分が前面に出てくるということが、私が申し上げたいことは、これまでの社会保障のあり方、そのほか、すべてのあらゆる分野においてそういういわゆるシステムとは異なるんだということを、大変重要な哲学でございますので、あえて申し上げたような次第でございます。
我が国におきましては、世界に冠たる皆保険、皆年金によりまして、すべての国民が、その能力に応じて保険料を拠出し、何らかの給付、サービスを享受できるというセーフティネットというものを構築してまいったわけでございます。
税方式というのは、負担のいかんにかかわらず給付を行うという仕組みでございます。ですから、これは、いわゆる負担と給付との関係というのが断ち切られるわけですね。負担と給付との関係が断ち切られる。これによりまして、当然のことながら、お金の、所得のある方々は要するに受給を遠慮していただく、こういうふうになっていくと思います。
私は、税方式にするということは、結局は年金制度を第2の生活保護に変質させてしまうのではないか、こういう危惧を持っているものでございます。全額税でございますので、給付水準が極めて低くなる可能性があるわけでございます。
と申しますのは、これは、常識的に考えて消費税で賄うしかないわけでございますので、消費税について、消費税がどのぐらい上がれるかどうかによって、要するに年金の給付水準というものも決まってしまう。要するに消費税を上げることが容認できれば、これは、高い、要するに現行のような、いわゆる6万6千円のような年金給付というものもあるいは給付できるかもしれませんけれども、この問題はそういったような問題を抱えているのではないか。そのときの政治情勢によっていわゆる年金の給付額というものが動く可能性が多分にあるんじゃないか。そうすると、国民生活そのものに多大な影響を与えてくるんじゃないか。
その辺のところにつきまして、ですから、私は社会保障の根幹にかかわる問題ではないかな、こう思っておるわけでございますが、福田総理の考え方をお聞きしたいと思います。
福田内閣総理大臣
現行制度の中の社会保険方式でございますが、これまでいろいろな議論がございまして、他方、最近さまざまな提案がなされております税方式、これにつきましても、その内容、長所、短所、実現可能性といったような観点から、なお十分な議論が必要であると考えております。
また、社会保険方式かあるいは税方式かといったような問題は、御指摘のとおり、単に財源の問題にとどまらず、社会保障の根幹にかかわるという問題であると思っております。そのために、今般設置しました社会保障国民会議において、中長期的な視点に立って、年金制度を含め、社会保障のあるべき姿や、その中での政府の役割、負担の仕方などについて議論を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。
丹羽委員
総理、恐縮でございますが、私は、要するに、消費税が上がるか上がらないかによって当然のことながら年金の給付水準というのも変わってくるんじゃないか、連動してくるじゃないか、その辺の考え方というのはどういうふうにお考えになるのかということについて、恐縮でございますが、もう一度、ちょっとその辺、お考えがございますならば。それとも、全く関係ないんだということになるのか、その辺のところについてお考えをお聞きしたいと思います。
福田内聞総理大臣
これは、年金制度の基本的な財源調達の問題でありまして、保険がいいのか税がいいのかといったような議論がありますけれども、消費税で極端にすべてを賄うといったようなことにはならないと私は思っております。
やはり、基本的な保障部分は税でやってもいいけれども、しかし、それを超える部分については保険制度でやるというのが、今そういうふうになっておりますけれども、将来においてもそれが妥当性が高いというように私は思っております。
いずれにしましても、そういう考え方について国民会議でもって大いに議論してもらおう、こう考えているところなのでございまして、今、私は、どこまでというふうに思っておるわけではありません。
税方式年金では、企業の負担している保険料が家計負担に回る
丹羽委員
これから議論をしていただくというところで、総理という大変重い立場でございますので、私からこれ以上お聞きすることは差し控えたいと思いますが、私が申し上げたいことは、いわゆる消費税をどれだけ上げるかによって年金水準も変わってしまうんだ、こういう可能性が多分に将来出てくるんだ、もし仮に税方式にした場合、そのときに、要するに年金水準というものが非常に不安定なものになるんじゃないかということを税方式の問題で私は危倶しているんだということを申し上げたいんだ、こういうことでございまして、これは大変重要な問題でございます。
それから、社会保障のいわゆる給付というのは、90兆円を上回る規模になっておるわけでございますが、実は、御案内のように、その3分の2は保険料によって賄われているんですね。3分の2は保険料。そのうちのまた半分が事業主、こういうことになっておるわけでございます。これは、医療にしても、年金にしても、介護にしても、同じことでございます。
これをずっと調べてみますと、我が国の社会保障というのは、これは、いいか悪いか、その判断は別として、我が国の企業が、良質な労働力を確保したい、従業員の皆さん方が安心して働いていただきたい、こういうことで、病気のときやいわゆる老後の生活を支えて、企業の従業員のきずなを深めて、質の高い労働力を確保していく、こういうところからスタートしてきた長い間の経緯があるわけでございます。これが実は我が国の社会保障の出発点です。
これは話は違いますが、児童手当なんかも全くそうなんです。国が先に始めたわけでもない、地方が始めたわけではない、いわゆる企業が始めた、それを後追いしたというのが実なんです。
だからこれは、いいか悪いかは別として、どちらかというと、我が国の企業が、いわゆる労働力の、良質な環境の中で働いてもらうという中でスタートした、医療にしても年金にしても介護にしても同じだ、こういうことをあえて申し上げたいわけでございます。
そういうような歴史的な経緯といいますか事実を無視して、いわゆる未納、未加入があるからといって、直ちにすべて消費税で賄うということは、私は、現在、企業が負担している保険料が事実上、今度は、企業の、いわゆる事業主が半分負担をしている部分が家計に回るわけですから、要するに家計につけかわるということになるわけでございまして、これはかえって混乱になるのではないか。
こういう考え方につきまして、西川副大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
西川京子厚生労働副大臣
お答えさせていただきます。今、日本の社会保障制度、保険料方式でやっております。その中で、確かに民間の会社というのが、日本の、特に経済成長の時期からずっと、社会の中での厚生、社員の厚生という、大変力を入れてきて、いわば社員の人生の生活を会社がかなりの部分を請け負ってきたという面があったと思います。
そういう中で考えますと、この税方式というのはいきなり公がどんと出てくるわけでございまして、今先生がおっしゃったように、大変会社と社員のきずなというのでしょうか、そういうものを一つの深める役割も果たしていたと思うんですね。
今、会社に対しての、会社は株主のものだという考え方に動き出す中で、かなりそういう意識というのは変わってきつつあります。私個人としては、やはり会社の半分は社員のものだという思いがありますけれども、そういう中での今回の税方式か保険料方式かという議論は、大変社会の変化と大きく連動しているような気がいたします。
そういう中で、やはり3分の2の半分を会社が負担していたという現実があるわけでございまして、そういう中で、仮に基礎年金部分を税方式にしたということだけでも、実は、18年度で3・8兆円、これが大きく会社の負担から家計の負担に変わるわけでございますから、一つの考え方そのものが変わってくることだと思います。
今、現に社会保障給付費が17年度で87・9兆円ありますけれども、そのうち、保険料収入が65%、54・7兆円です。そのうちの企業の負担、拠出が26・3兆円となっております。
以上でございます。
丹羽委員
先ほどから私が申し上げておりますように、税方式を採用すべきだという主張の最大の理由は、どちらかというと、いろいろ同僚議員にも聞きましても、いわゆる未納、未加入問題というものが解消しないからだ、こういうことなようでございます。この未納、未加入問題、大変重要な問題でございまして、これは何とかしなければならない問題であるということは十分承知しておるわけでございますが。
問題は、私は先ほどから申し上げておりますように、いわゆる給付のあり方から、だれが負担をするかという負担の主体まで、制度の根本を変えてしまう税方式をというのは、私は、十分に慎重に議論をしていかなければならないことですし、余りにもこの問題が最近、ムード的とは言いませんけれども、短絡的にちょっと議論されているのではないか、こういうような私なりの感想を持っておるわけでございます。これにつきまして、先ほど厚生労働大臣のお考えをお聞きしましたけれども、改めてもう一回お聞きしたいと思います。
舛添厚生労働大臣
まず、自立自助、それから共助、公助、この哲学に必ずしも適合しない。それから、先ほど委員が生活保護との絡みをどう考えるのかということがございます。それから財源の問題があります。それから、仮に税方式にした場合に移行措置をどうするのかということで、それまで年金の掛金を払ってきた方、その方とそうでない方との公平の問題。それから、それでは未納、未加入だった方をどうするのか。65年間放っておくのか。そうすると65年以上かかる、極論で言えば。そういうさまざまな問題をきちんと議論するべきだというふうに考えております。
現役世代の収入は、セーフティネットとしての役割を果たしうるか?
丹羽委員
民主党も、さきの参議院選挙で、現行の消費税率5%を一切引き上げずに、65歳以上のお年寄りに対しては現行の基礎年金の水準の6万6千円を給付するという、私にとっては何か手品のような考え方を明らかになさったわけでございます。
これは、私なりに好意的に解釈すれば、厳しい経済情勢というものを配慮したのかどうかわかりませんけれども、前の衆議院選挙のとき、岡田代表(当時)が、いわゆる年金に特化した消費税を導入して消費税率を2%引き上げる、こう公約をおっしゃった。
私はキツネにつままれたような感じがいたしまして、こうもわずかな間で、くるくるくるくるこれだけ大きないわゆる方針が変わるのかな、こういう思いがいたしておるわけでございまして、また機会があったら、岡田代表の方からなぜ変わったのかということをきちんと国民の皆さん方の前に説明する説明責任があると私は思うんです。全く違うことをおっしゃっているということであります。
その中で、これも財源を要するに埋めるためかどうか、現役でも、一度でも600万円以上の収入のあった方からは、65歳までにあった方ですよ、つまり、ある意味でいうと20歳から65歳までの間に、その方から半減をと。それから、1200万円以上の収入のあった方は、要するに最低保障年金と称する年金をすべて辞退してもらう、こういう考え方を主張していらっしゃるのであります。
しかも、私もこれはいろいろ報道等から見たところでありまして、確かな点はよくわかりませんけれども、一部には、いわゆる報酬比例部分というものに加入していない方に対する最低保障年金は、要するに給付しない、こういうことをおっしゃっている。そうすると、未納、未加入という問題が解消できるのかどうか、ここが私はよくわからない。
未納、未加入というものを解消するために、いわゆる報酬比例、最低保障年金と言っているけれども、実際問題、比例報酬部分というものに加入しない者は最低保障年金も出さないんだということをはっきりとおっしゃっている幹部の方がいらっしゃる。そうなりますと、この問題はどうなるのかな、こういう、私はこれまたキツネにつままれたような感じを持つわけでございまして、これも機会を持って堂々と国民の皆さん方の前に明らかにしていただきたいと思っておるような次第でございます。
私が申し上げたいことは、65歳になってから600万円とか1200万円の方について辞退するということは常識的に考えられるんですけれども、その前なんですね。しかし、人生は山あり谷ありですから、45歳だか50歳のときに600万円、1200万円を稼いでいた人間も、65歳、要するにもうリタイアして、そうしたら病気になって一銭も働けなくなった、こういうようなことが実際にあるわけです。そういう方に対しては、あらかじめ預金をしておけ、預金をしてためておけ、こういうことしか考えられないわけでございます
けれども、この辺のところはやはり、これは今、二大政党と言われております、それでシャドーキャビネットも持っていらっしゃるわけでございますので、堂々と国民の前に明らかにしていただきたい。
私は、社会保障というのはそういうものじゃない。長い人生、山あり谷ありなんですね。何があるかわからない。そのためにみんなで支え合っていくというのが社会保障であって、老後に働けなくなったときに給付を受けられるようにするのが社会保障であって、これは年金制度ではないんじゃないか、あるいは、社会保障というのは、セーフティーネットというのは何かということをよく御理解なさっていないのではないか、こう私は考えておるわけでございます。要するに、年金ゼロになるというのは、これまで、20歳から64歳までに600万円以上の収入があったら半減するとか、1200万円以上の収入があったら年金ゼロということは、私はおよそ社会保障とかけ離れた発想ではないか。
これは、私も、民主党さん、小沢代表さんにお聞きしたいところでございますけれども、これにつきましてお聞きするわけにいかないわけでございますので、厚生労働大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるのか、御感想をお聞きします。
舛添厚生労働大臣
私の立場で民主党の案にどうこう言う、コメントする立場ではございませんけれども、今委員がおっしゃったように、現役の時代に稼いでいたからといって老後そのまま豊かであるかというのは、それはわかりません。特に、85歳まで生きるわけですから、リタイアして20年、25年の先はわかりません。そういうときに、セーフティネットとしての年金ということを位置づけるならば、全く年金が出ないというような形であるのは好ましくないな、そういうような感じがいたします。
丹羽委員
それでは、再度厚生労働大臣にお伺いしますが、すべての税財源で、現行の基礎年金の水準、6万6千円ですね、これを65歳以上のすペての方のお年寄りに支給すると、給付総額というのはどのぐらいになりますか。
舛添厚生労働大臣
平成20年度時点で65歳以降の高齢者約2800万人すべてに6万6千円支給すると仮定して計算いたしますと、年間の給付総額は22兆3000億円でございます。
丹羽委員
22兆3000億円ということでございますが、それでは財務大臣にお伺いいたします。
この給付を先ほどから議論しておりますすべて消費税で賄おうとすると、いわゆる消費税率にして何%になるのか。現行5%でございますけれども、これを何%ぐらい引き上げればなるのか。
ただ、消費税率の問題も、地方の分も配慮した議論と配慮していない部分があるものですから、これは両方お答えいただければありがたいと思っております。
額賀nu郎財務大臣
今、厚生労働大臣がおっしゃったように、65歳以上のすべての方々に給付をいたしますと、22・3兆円かかるということはおっしゃるとおりでございます。
これを消費税率で賄うとどうなるかというお尋ねでございますけれども、消費税の一定の割合は地方財源となっていることはおっしゃるとおりでございますので、現行消費税率5%に対応する税収のうち国分の税収が平成20年度見込みで約7・5兆円であることを換算すると、約15%の消費税率に上げていかなければならないということになります。
消費税率の一部が地方財源となっていることを考慮しない場合は、今の20年度見込みでの消費税は13・2兆円でありますから、これをもとに換算すれば、8%半ば程度の消費税のアップにつながるということです。
丹羽委員
私どもは政治家ですから、当然のことながら、消費税の問題にしても、負担の問題にしても、国民の皆さん方がどの程度容認してくださるか、この政治判断というものは大変重要なことだと思うんです。
そこで、私が申し上げたいのは、今、現行の5%から何と15%、10%以上も引き上げないと、当然のことながら地方も配慮してですけれども、要するに賄っていけない、こういうことでありまして、巨額な財源が必要なことでございます。そのためだけに消費税をこれだけ引き上げることについて、国民の皆さん方が果たして現時点において容認してくださるのだろうか、理解を得られるとお考えになるのか、総理はその辺のことについてどういうお考えをお持ちになっているのか、ちょっとお聞かせ願えますか。
福田内閣総理大臣
給付と負担の関係で、給付がこれだけあるので、そのコストは負担としてこれだけあります、それをどういうふうに払うかということで、それを税金でお願いしますというようなことになった場合に、さあ、どうなんでしょう。
私も、断定的に申し上げる根拠はないんですけれども、やはり公平の原則とか年金の性格、老後因るだろう、だから最低のものを支給しよう、そういう趣旨。それ以上支給しようとすれば相当な年金額になりますので、やはり多い金額を差し上げるという趣旨ではないんだろうというように思います。
そうしたら、その分を何で負担するか。私は、税金で一部負担してもいいし、また、個々のこれまでの収入によってその分を加算したものをもらうという、基本的には現在のやり方というようなものはよさそうに思うんですけれども、そういったようなものについどの辺のバランスでやるのかといったような議論もありますので、この辺はただいま立ち上げております国民会議なんかで議論をしてもらうのかな、こういうふうに思っておるところでございます。
丹羽委員
年金や医療、介護などの給付費は、御案内のように、高齢化によって年々増加いたしております。国の予算だけでも毎年7500億から8000億に近い、これだけの社会保障の自然増というものが毎年なされておるわけでございます。
その一方で、歳出歳入一体改革、こういうものが進められておるわけでございますが、社会保障の伸びを抑制するように要請されておりまして、2200億円の要請、私ども、大変苦労しているところでございますけれども、高齢化に伴う給付の増加を抑制するために、2004年の年金の改正におきましては、御案内のように、保険料率を18・3%に固定した、それから国庫負担を2009年から2分の1にするんだとか、それからいわゆる積立金の切り崩しだとか、こういう改革を行いました。それから、2005年には、御案内のような、介護保険制度で、給付、いわゆる給食費というものを外した。それから、2006年には医療制度改革 こういうものを行っておるわけでございます。
後ほど質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、医療や介護の現状はもう青息吐息でございます。税方式を使用する場合には、こうした事態というものを、医療や福祉の実態というものを十分に加味して考えなければならない。こうした事態の中で、消費税をすべて年金に、要するに特化するということが、果たしてこういう選択ができるかどうか。私は、およそ非現実的な議論ではないか、こう思っておるような次第でございます。厚生労働大臣に、このことにつきまして御見解をお聞きしたいと思います。
舛添厚生労働大臣
今、大きな数字で、日本のGDP500兆円、そのうち、年金、医療、介護を合わせて90兆から100兆になろう。そうすると、GDPの2割をこれに割かないといけない。しかも、年金が、これも丸い数字で50兆、医療が30兆、介護が15兆、比率で、丸い数字でそういうことでございます。
ですから、消費税 これは国民がどこまで負担してくださるかにもよりけりですけれども、それをすべて年金に注ぎ込むということは、まさに私も今、日々、医療、介護をこの限られた財源の中でどうするかということで苦労に苦労を重ねておりまして、もう限界に近いということをいつも私は申し上げております。そういう中できちんと議論をすべきでありまして、すべて消費税を年金にというのは余り現実的ではないなという感じがいたします。
丹羽委員
仮に、全額税方式に移行するといたしましても、これまで保険料を払った人と保険料を払っていなかった人、これをどう扱うかという大変大きな問題がここで残されるわけでございます。
税方式論者の中には、税を財源とする現行水準、つまり6万6千円の年金に上乗せして、これまでの保険料を払った期間に応じた年金を出すとか、あるいは、これまで保険料を払わなかった期間に応じて、税を財源とする現行水準6万6千円から少しずつ一定額を要するに減額するとか、いろいろな案が乱れ飛んでおるわけでございますけれども、いとも簡単におっしゃいますけれども、果たして、私はそんなに簡単な問題ではないんだろう。私が申し上げたいのは、どちらの方式をとるにいたしましても、現行制度の加入というものが、期間が40年間でございます。平均的な年金の受給期間が20年程度。ですから、こう考えてみましても、完全に移行するためには半世紀以上にわたっていわゆる移行の期間が必要となってくる、大変これは重要な問題ではないか、こう思っておるような次第であります。
その間は、既に保険料を払った年金の受給者が、さらに年金給付のための消費税を負担させられる、いわゆる二重負担なんです。保険料を払ってきた人がもう一回消費税を払う、こういう問題。それから、現役世代に保険料を払わずに無年金になった高齢者が、亡くなるまで年金をもらえないのに、年金給付のための消費税は、これは払い続ける、こういう問題が起きてくるわけでございます。
こういったことに対する不満をずっと抱えながら、この移行期間というものを過ごさなければならない、これは当然のことでありますが、私は、政治に携わる者として、現実問題として、こうした状態が混乱もなく半世紀以上も続けられるかどうか、このことを大変危惧しているんです。
私はこれまで、今後半世紀以上も年金の議論だけに終始してしまっていれば、これもまた深刻になってくるだろう。今、舛添大臣からお話がございましたような医療であるとかあるいは介護であるとか、こういう社会保障という問題もすっ飛んでしまうんじゃないか、こういう危惧すらしておるわけでございますが、厚生大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
舛添厚生労働大臣
今、委員御指摘の、今、仮に制度移行時に、20歳の方は85歳まで生きるとして65年問、これだけ移行に時間を費やすのかという問題があります。だから、やはり新しい制度に移行するときに、これは暫定措置とか激変緩和措置では済みません、65年ということは。
それからもう一つ、仮に、私が65歳になる、年金受給資格が出る、こつこつ毎月きちんと払ってきた、しかし今日から制度が変わって、私は、平均寿命でいうと、65だと20年間生きますから、20年間、自分がもらう年金のために過去一月の未納もなく払ってきたのに、また払えというのか、消費税をと。これは高齢者の間でいさかいが起きますよ。そうすると、丹羽さん、あなた、払っていないね、だから消費税出しなさい、消費税15%にしました、10%分は、あなた払いなさい、そういうことができるか。大変な問題だ、事実上不可能だと思います。
丹羽委員
国民生活に影響のある、まさに負担の問題でありますから、私がここで申し上げたいのは、白地に絵をかくようにはならないんだ、このことをあえて国民の皆さん方によく御理解をいただきたい。そういう観点に立って‥…お互いに議論を深めながら乗り越えていかなければならないんだということを、私はここで強調しておきたいと思っております。
未納、未加入問題、大変大きな問題であることは言うまでもありません。年金全体の加入者7000万人のうち、実に300万人の問題でもあるわけでございますが、厚生年金に加入しているサラリーマンについては、所得の多寡、多い少ないにかかわらず、比例した保険料が給料から天引きされているんですね。要するに、高い人がその分だけ高く引かれている、保険料が取られている。自営業者や厚生年金の適用を受けていないパートの方々が本来加入すべき国民年金、これに生ずる問題でも実はあるわけでございます。
国民年金の保険料は定額で、現在1万4100円でございます。40年間保険料を納め続けて受け取ることができる年金額が、定額で、現在水準で6万6千円でございます。これは、まあいわば長期保険の宿命とも言えるかもしれませんけれども、実際問題として、低所得者であるとかあるいはパートの方々にとっては年金としてちょっと魅力に欠けるのではないか、このような御指摘もあるわけでございますけれども、これにつきまして、西川厚生労働副大臣に、どういうメリットがあるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
西川厚生労働副大臣
お答えさせていただきます。
魅力と言われると大変厳しいお話かなとも思いますけれども、今回、21年度までに税負担が2分の1になるという、一応法律で明記されております。
そういう中で、今、保険料方式は、考え方として、賦課方式と、少し積立方式ということも入っていると思うんですね。そういう中では、あらゆる民間の年金よりも、半分利子がついてくるんですよという考え方もできると思いますので、そういう意味では大変お得ですよ、そういうことがあると思います。それと、税金が入っているわけですから、当然、絶対安心です、国が最低保障します、そういうことになるかと思います。
それと、今、未納、未加入の問題、これに対しましてさまざまな工夫を凝らしておりまして、一つは、払いやすくするということで、振替口座の利用とか、コンビニエンスストアで払い込める、あるいは、若年者猶予ということで、不正免除の問題がありましたけれども、正当な学生の間とか、そういう間には、きちんと説明責任を果たして猶予制度を導入する。そういうことで、平成14年度のときに62・8%でありました納付率が、今は66・3%まで増えております。目標値としては、18年度目標74・5%で、まだやや開いておりますが、精いっぱい努力していきたいところでございます。
パート労働者の国民年金については事業主の代行納付を検討すべき
丹羽委員
それでは厚生労働大臣にお聞きしますが、本来、国民年金の対象である農家や自営業者に比べまして、厚生年金の適用が望ましいと考えられますパートなど非正規雇用の方々に未納者が多いのではないかと考えられますが、実態がどうなっているのかということについて、まず第一点。
そうだとすれば、私は、一日も早くこの被用者年金一元化法案を成立させるとともに、これは要するに、年金一元化法案に、パート労働者、現在30時間というのを今度20時間に引き下げるということが含まれておるわけでございますので、あえて申し上げるわけでございますが、法案を成立させて、これを突破口として、さらにパート労働者など非正規雇用の方々の厚生年金の適用を拡大させることによって国民年金の未納、未加入を減らしていくことができる、現実的にそういう観点に立って考えているので、御見解をお伺いしたいと思っております。
私は、本来、貸金が支払われるべきときには、厚生年金といいますか、社会保障そのものが不可分でなければならない、こういう考え方に立つものでございます。
そうはいっても、中には就業時間が極めて短く、厚生年金が適用されない人もいるだろうと思います。そのような方の中には免除対象者も私は少なくないと思いますけれども、せめて、所得税や住民税にとられているのと同様に、企業が、ここが大切なことなんです、企業が国民年金の保険料を代行して給料から天引きをして徴収機関に納付するということも検討してしかるべきではないか。
厚生年金も、実はサラリーマンの方はみんなそうなんですが、あらかじめ天引きされるということがこれだけの高い収納率につながっておるわけでございますので、それでみんな加入しているということがありますので、その程度の親切さというものを企業に求めても、この未納、未加入問題の解決のために大変重要なことではないか、こう考えます。これにつきまして厚生労働大臣のお考え方をお聞きします。
舛添厚生労働大臣
まず、データでございますけれども、いわゆる一号期間滞納者について言いますと、自営業者が23・0%、家族従業者が21・3%、今御指摘の臨時、パート、これが29・5%と、極めて高い数字になっております。
今、委員おっしゃったように、やはり稼いだ給料というか得たものから自動的に社会保障の給付費は出すんだ、そのための、天引きであれ何であれ、仕組みについて企業が協力するというのは、企業の社会的責任から考えても、私は十分検討していいことだろうというふうに思います。
それから、昨年の通常国会で提出した被用者保険の一元化法案ですけれども、これがうまくいけば今の問題も片づくわけですし、今、委員がおっしゃったように、パートについても適用するということを方針として拡大しただけで比率は上がってきておりますので、ぜひこの被用者年金一元化ということについて、一日も早くも法律の制定をお願いしたいと思います。
丹羽委員
企業の協力も得まして、国民年金も代行していただく、こういうことを進めていきますと、あとは国民年金は、まさに自ら事業を営む、本来の意味でのいわゆる自営業者しか残らなくなってくるわけでございます。非正規雇用の方々に対しても、保険料の未納がなくなってくるわけでございますし、雇用労働者にふさわしい年金を給付することができるようになる、こういうことでございます。
私がここで申し上げたいことは、何も未納者が多いからすぐに税方式にするんだという考え方ではなくて、税方式にしなくても問題は解決できるんだと。 これまでどちらかというと、先ほど西川副大臣が言いましたが、PRだとかコンビニとかいろいろありますけれども、こういったようないわゆる国民年金の納め方そのものも検討していく、そういうことによって未納、未加入問題というものが大きく解決に近づくのではないか、私はこう考えておりますが、改めて厚生労働大臣のお考えをお聞きします。
舛添厚生労働大臣
今、委員おっしゃったように、未納、未加入問題の解決策は税方式しかないということではないと思います。きめの細かい対策をやる、そのためにもぜひ被用者年金の一元化をやっていただきたいということとともに、さまざまなきめの細かい対応が必要だろう、そういうふうに思っております。
丹羽委員
恐縮でございますが、総理はどうお考えでいらっしゃいますか。
要するに、国民年金のパートの方々に対して企業があらかじめ徴収して納めるという考え方についてどう思いますか。
福田内閣総理大臣
私も、今厚生労働大臣が答弁されたと同じ考えでございまして、税方式に頼らなくてもきちんと徴収する仕組みというものはできるというふうに思います。
2009年までの国庫負担2分の1への引上げは、必ず実行へ
丹羽委員
ありがとうございました。
それでは、年金法の改正でございますが、2004年で所要の税制改正を行いました。そして、先ほど総理から御決意がございましたけれども、現時点では36・5%、いわゆる基礎年金の国庫負担の割合が引き上がってきておるわけでございます。2009年までに2分の1、50%にするということが法律に明記してあるわけでございます。
これは、税方式の議論もこれから大いに議論しなければならないと思っておりますけれども、私どもは、目前に迫りました国庫負担の2分の1への引き上げをまず実現するということが先決だと思っております。
私は、いかなる事態があろうとも、この2分の1への約束は守らなければ、将来世代の給付と負担の前提が崩れまして、制度の崩壊にもつながりかねない、こう考えておるわけでございますけれども、2009年に2分の1引き上げを実現する、そのためには今年の暮れまでに財源の確保にめどをつけなければならないわけでございますが、これにつきまして総理はどのような御展望をお持ちでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
福田内閣総理大臣
当面の考え方、これはもう従来と変わっておりません。そして、2011年度にプライマリーバランスを達成する、そういう大前提を持っておりますので、それにあわせるように予算の割り振りを考えていかなければいけない、そういう中でもって社会保障を考えるということであります。
社会保障を考える場合に、これも大変窮屈な状況になってきております。ですから、ここのところは、個々の案件を考えた場合に悩ましい問題がたくさんあるんです。あるんですけれどもそういう中で、いろいろ工夫をしていかなければいけないと思います。歳入歳出改革を一体で進めるということは、これはもうしっかりとやらなければいけない、そういう中から社会保障財源が生み出されるように努力をしてまいりたいと思っております。
丹羽委員
ところで、年金制度に関しましては、年金給付の根拠となります年金記録問題、これまで社会保険庁の、私どもの想像を絶するような管理のずさんさがあったことによりまして、多くの記録が、基礎年金番号が未統合のまま、国民の皆さん方に多大な御迷惑やら御心配をおかけしているところでございます。
いよいよこの4月からは、すべての年金受給者と現役の加入者の皆さん方にねんきん特別便、これをお送りし、市町村や企業、そして、社会保険労務士会の方々などの協力を得ながら、これまでお送りした方を含めまして、一億人の加入者の受給者全員、お一人お一人に、御自身の記録の確認をお願いするという新しい段階を迎えるわけでございます。
結局のところ、この未統合の年金のいわゆる記録問題、これを解決するためには、私は国民の皆さん方のお一人お一人の御協力がなければできないんだ、このことを国民の皆さん方に率直にお願いをしなければならない。そのためには、ねんきん特別便を通じまして、国民の皆さん方にどういうような工夫をして協力を得るようにするのか、国民の目線に立ったいわゆる努力が求められているのではないかと思っております。
これにつきまして、厚生労働大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
舛添厚生労働大臣
昨年の7月5日の政府・与党の工程表に基づきまして、ただいまねんきん特別便をお送りしているところであります。
ねんきん特別便にしましても、成り済ましとか不正とかそういうことを防止しようという観点もありましたので、いささか抑制的になっておりましたけれども、いろいろな皆さん方の御指摘を賜りまして、新たなバージョンをつくり、わかりやすいようにする。
それから、窓口の対応にしても、その方が御本人だというのは、もうほとんどあらゆる記憶をよみがえらせる手だてをやるということで確実に手段を講じております。
それから、ねんきん特別便のダイヤルの席数を、昨年末は350でございましたけれども、現在1000席まで増やしておりますし、4月から特別便を送りますから、もっと対応体制を充実させたいと思います。
それから、1月28日に社会保険労務士会の皆さん方に私から直接お願いして、市町村や農協、漁協、郵便局などに場所を借りまして、そのために、市町村を含め、関係機関には御協力を既に私から要請しておりますので、そういうところで社会保険労務士の方々にも御相談に乗っていただく、そういう努力をしております。
それから、いろいろな新しい政策をとる、新しい手をとるときに、逐一、それが問題点がないか検証していく。そのために、私のもとに年金問題に通暁した方々、そしてとりわけ社会保険庁に批判的な方々も集めました作業委員会を設けておりまして、その作業とともに、国民の目線に立ってきちんとやる、一人一人の年金を確実にする。
そのためにも、これはもう本当に御高齢の方はこの書類を見るのは大変だなという気持ちはわかります。しかし、ぜひ御協力いただきたい。そして、例えば結婚で名前が変わられた方、これは2月、3月、結婚で姓を変えられた方に対する特別キャンペーンをやっておりますので、ちょっと御注意して見ていただく。
国民の皆さんの協力をいただければそれだけ早く、そして国民の皆さん方の記録をお一人お一人確実に取り戻すことができる、そういう思いで全力を今後とも挙げてまいります。
丹羽委員
ありがとうございます。
私も、今度のねんきん特別便で国民の皆さん方がこの間題について全面的な御協力をしていただけますことを心から御期待を申し上げておるような次第でございます。
年金の問題はこのぐらいにいたしまして、残りの時間で医師不足や介護従事者の確保の問題について若干お伺いしたいと思います。
私、昨年、北海道の釧路でこんな話を聞きました。これまでは、いわゆる救急センター、休日夜間救急センターでございますが、医師会がやっていたけれども、今度は市が運営しなければならないんだと。一番の問題は夜間の部である。要するに、夜の7時から朝の7時まで12時間、この救急医療センターに従事してくださる先生が必要なんだと。年間120日間である。勤務する医師が、120日間ということからでしょうけれども、最低で3人必要だということであるけれども、まだ一人しかめどが立っていないんだと。ですから、丹羽さん、どなたか医師を紹介してくださいませんかと。医師がいないとだんだんだんだんこの町には住めなくなってしまうんだということで、町そのものが崩壊していくんだ、こういうような話を聞きまして、私は、これが本当に医療崩壊なのかな、こういうことで、胸が痛む思いがしたわけでございます。
これは、過疎地帯、地方の一部だけでなく、地方のいわゆる中核都市においても同じような状態が非常に深刻になってきておりまして、釧路はまだよい方でございまして、私がお聞きしましたところ、人口10万対医師の数で見ますと、釧路は211人だというんですね、釧路は211人。隣の根室に至りましては100人だというんです、100人。札幌市の300人に比べますと地方の医師不足は大変深刻な状態である、こういうことでございます。
額賀大臣、私の地元であります茨城県も同じような状態でございまして、額賀先生と私と同じ選挙区でございます小美玉市の方の国保病院でも、眼科の医師を筑波大学から何とかしてもらえないかとか、こういう話をしょっちゅう聞かされておるわけでございまして、これは大変大きな深刻な問題でございます。
そこで、舛添大臣、たびたび恐縮でございますが、今の話をお聞きになりまして、この医師不足対策につきまして、どういうような認識とどういうような対応をお持ちでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
舛添厚生労働大臣
今の釧路のような話、また茨城のような話、私も全国各地で聞いております。先般、長野県の飯田市に参りましたけれども、やはり同じような状況であります。幸い、飯田市立病院は信州大学から一人派遣していただくということで、この4月から里帰り出産をやめようというのをやめないで済むようになりました。さまざまな要因があると思います。特に産科、小児科なんかは訴訟リスクの問題があったり、女性の医師の比率が増えていたりとかいうようなこともございます。
昨年5月に、政府・与党で緊急医師対策をいたしましたけれども、もうそれでも喫緊の課題に間に合わないということなんで、今全力を挙げて、私自身、産科医の方々、救急医学会の方々にお願いして、何とか出していただけないかと。
そういう中で、今釧路の例がありましたけれども、臨床研修医のあり方、特に大学の医局の力が落ちている。だから、札幌医大の先生が、ちょっと大変だけれども、君、釧路に2年間行ってくれないか、そうするとその後は札幌に戻れるよ、こういう形でやっていたのが、今、そうでなくなった。
その他、多々問題はありますけれども、喫緊の課題に全力を挙げて取り組むとともに、例えば医師不足というけれども、では、本当に不足しているのかどうなのか、偏在の問題はどうなのか、こういうことを含めて、やはり私は長期ビジョンが必要だと思いますので、安心と希望の医療ビジョンということで、今、私のもとに直属の研究会を設けて、長期的な対策についても取り組んでいるところでございます。
丹羽委員
大変結構なことでございますけれども、医師の数は、OECD諸国の中の平均が人口千人に対しまして2・6人なんですね。フランス、ドイツは3人以上、それから、アメリカやイギリスでも2・4人というレベルでございます。我が国は2・1人でございまして、OECD諸国の中で下から4番目なんです。
他国に比べまして医師の数は少ない状況にあると私は思いますけれども、まず、我が国は、医師の数の問題についてどういうお考えなのか。大臣、いろいろ御苦労なさっていらっしゃるようでございますが、これで十分とお考えなのか、その点についてお聞きしたいと思います。
舛添厚生労働大臣
私は、一般的に言って医師の数が十分ではないと思っていますから、今、一生懸命対策を立てておりますが、 しかし、例えば人口千人当たり何人いれば十分なのか、不十分なのか。これは、委員御承知のように、国によって非常に違います。アメリカは余り数が変わらないんですね、2・1と2・4ぐらい。ただ、アメリカの場合は、メディカルクラークとかアシスタントがたくさんいて、お医者さんがお医者さん本来の業務に集中できるようになっております。
そういうことを考えますと、ただ単に数がどうだということではなくて、今はやはり診療科による偏重、都市と地域による偏重、開業医は多いじゃないか、こういう話もありますので、そういうこと全体を踏まえて、余り、数が不足している、増えているということを議論するよりも、今、問題の課題について手を打っていく、これが大事だろうというように私は思っております。
丹羽委員
それでは、医師の数、それは私も今の中で要するにやりくりしなければならないことも十分承知しておりますけれども、医師の数を増やすために大学の医学部の定員を増やす考えがあるのかどうか。定員を増やさないと、今のままですと医師不足というものが将来とも続くのではないか、こう思っておりますけれども、これにつきまして、文科大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
渡海紀三朗文部科学大臣
今、舛添厚生労働大臣からもお答えがあったわけでありますが、現時点をどう見るかという問題もございます。同時に、医師の養成というのは大変時間がかかるわけでございますから、中長期的なビジョンというものをしっかり立てて、その中で考えていかなきゃいけない。その中で、今、緊急医療対策として定員枠というのを増やしましてやっているわけでありますけれども、今後どういう方向に行くかということは、なおさらなる努力をしていかなきゃいけないんだろうなというふうに私は考えております。
この点につきましても、厚生労働省、また大臣ともよく話をしまして、長期的なビジョンに立った全体的な定員というものを考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
丹羽委員
それでは、介護従事者の問題についてお伺いをしたいと思っております。私、昨年の暮れ、御婦人の皆様方が大勢集まるある決起集会に、依額を受けまして、出席をさせていただきました。全国から集まった介護福祉士など、いわゆる従事者の皆さん方が、介護の厳しさ、待遇の低さ、悪さ、月に14万から15万という低賃金のために勤務が長続きしないんだ、こういったような切実な生の声をお聞きしたわけでございます。皆さん、介護の仕事はやりがいがあるけれども、これでは生活ができないんだ、みんなやめていったけれども私は要するに乗りおくれてしまったとか、こういうような話をお聞きしたわけでございます。介護福祉士やケアワーカーまたデイサービスに携わってくる学生などの真剣な訴えというものは、私は、これは大変心にずしんと響くものがあったわけでございます。こうした介護従事者の現状をどのように認識されていらっしゃるのか、厚生労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
舛添厚生労働大臣
介護に携わる方々の処遇が必ずしもよくない、その意見を聞いております。今、生きがいだけではやっていけないんだ、やはり生活していかないといけないということで、極めて切実な声を聞いておりますので、私も今の問題はきちんと把握しています。
社会保障は、まず国民の安心感が不可欠。医療・介護にも十分な配慮を
丹羽委員
これまで私は、年金の問題に始まりまして、医療、介護の人材をめぐる問題について若干お聞きをしてきたわけでございます。そこで、改めて社会保障全体の状況を見ますと、2004年から2006年にかけまして、年金、医療、介護の一連の改革を進めてきまして、将来の高齢化に伴います給付の伸びを、先ほども申し上げましたけれども、7000億から8000億伸びがあるということを2200億ずつ5年間かけて、要するに抑制していこうじゃないか、こういうことで、こういう見通しになってきましたけれども、そういった一方で、今、一、二御質問を申し上げましたように、医師不足の問題であるとか介護の問題であるとか、この医療、介護の現場は大変悲惨なものになってきているということ、これも紛れもない事実ではないかと思います。
私は、財政再建の旗はおろすべきではない、こういう考え方を持っておりますけれども、一方で、この社会保障というのは、総理御存じのように、いわゆる市場経済の中で競争できない方々が、社会保障の中でセーフティーネットとして救済されている、こういう側面があるわけでございます。ですから、私は、よく、一時はやりました抜本改革、抜本改革という言葉に踊らされることなく、やはり大切なことは、医療や介護、こういった現場というものを十分に配慮して、十分にこれを洞察して、いわゆる数字のつじつま合わせであってはならない、これでは国民の皆さん方が安心できないんだということをあえて申し上げたい。
一番大切なことは、冒頭申し上げましたように、セーフティネットとしての社会保障は、国民の皆さん方が安心感を持つことである。福田政権は安心感を持つ政治ということをおっしゃっていらっしゃるわけでございますけれども、その意味において、最後に総理の御見解をお伺いしたいと思っております。
福田内閣総理大臣
社会保障は、若い人にとっても関心事であり、また高齢者にとってはまさに受給を受ける、そういうことにあるわけでありますから、長い人生の中で、いかにして自分が、将来何かあったときでも安心して生活できるんだというよりどころを求めなければいけない、それを与える制度が社会保障だというように思いますので、この制度をきちんとしたものにすることはとても大事でありまして、そしてまた、公平感のあるものでなければいけないということ、そしてまた財政的に支えられるものでなければいけないといったようなこともありますので、なかなか難しいテーマなんですね。だけれども、これはつくらなければいけないんですね。
そしてまた、この社会保障制度も、戦後ずっと続けてきまして、積み足し、積み足してやってきた部分もあるんだろうと思います。ここでもって全部、特に少子高齢化という顕著な兆候が出てきたそういうときに、ここで一回考え直してみるということも必要なのではないのかな、それが今の時期だというふうに思いますので、しっかり検討させていただきたいと思いますし、また先生方の御意見も十分に承りたい、こう思っているところでございます。
丹羽委員
ありがとうございました。
時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。