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2007年2月9日
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| 丹羽雄哉委員 | : | 自由民主党の丹羽雄哉です。本日は、わが国の経済、財政、外交、そして、社会保障の問題を中心に、私の考え方を率直に申し上げて安倍総理を始め、関係閣僚のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 まず、安倍政権が、最初の当初予算として、「改革を加速する」という基本理念のもとに編成された19年度予算案について伺います。新規国債発行は景気回復の自然増収もありますが、前年に比べて過去最大の4.5兆円、そして、交付税関係の償還分を含めると、何と6.3兆円もの財政健全化を図ったわけです。思い出しますと、前内閣時代に、新規国債発行額30兆円をめぐって、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論がなされたことが、何か嘘の様な気がいたします。私は、わが国財政の健全化、財政再建の道筋が明確に示されたこの予算案を画期的なものとして高く評価する者ですが、まず、財政再建に対する安倍総理の確固たるご信念をお伺いしたいと思います。 |
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| 安倍晋三内閣総理大臣 | : | 引き続き、わが国の財政状況は極めて厳しい状況にあるわけであります。しかし、景気については、改革の成果が着実に表れつつあり、力強い景気回復の軌道に乗ったと言ってもよいと思っています。企業は収益を上げ、そして、税収も増えてきております。 しかし、こうして自然増収が増えてくると、何となく新たな歳出に使っていきたい、という気持ちになるわけですが、そこは、今のこの厳しい財政状況の中では、子や孫にツケを回せない。そしてまた、世界は、日本の政府がどういう予算案を組むか、財政規律を果たして守っていくかどうかを見ているわけです。ここでやはり私たちは、「財政規律を守っていくのだ、財政再建にしっかりと取り組んでいくのだ」という強い意思を示す必要があると考えて、国債の発行額については過去最大の4兆5千億円の削減、減額を行ったところであり、全体で6.3兆円の財政再建に資する予算を組むことができたわけです。 われわれは、今後とも、2010年代の半ばには、債務残高、GDP比が安定的に減少になるように、そしてまた、2011年、プライマリーバランスが、国と地方とを合わせて黒字となるように、計画的に歳出歳入の一体改革に正面から取り組んで参りたいと考えております。 |
| 丹羽委員 | : | 総理のご決意をお聞きして、大変心強く思います。と申しますのは、自然増収がちょっと増えると何となく気が緩んでくるのではないか、ということを私も危惧する者の一人だからです。そこで、財務大臣に中期的な財政見通しについてお伺いします。 政府は、引き続き、18年度と同じような税収増を見込んだ上で、徹底した歳出削減を行えば、今、総理からご答弁がありましたように、2011年には国、地方を合わせてプライマリーバランスの黒字化が実現できる、というような試算を示しされたわけです。しかし、率直に申し上げて、財政の現状は大変厳しいものがあります。苦しいけれども、将来に向けてさらに厳しさが増すという現実から目を離すことができないのではないか。毎年の赤字額は改善したとはいえ、債務残高は、尾身大臣もおっしゃっておりますが、先進国中最悪の775兆円にも達しており、気の遠くなるような話です。 ですから、私は、プライマリーバランスの黒字化というのは、財政健全化のための一歩に過ぎない。民主党さんは…、枝野(幸男)先生もいらっしゃるけれど、いろいろ議論をしましたが、「基礎年金の全額税方式」であるとか、「零細農家には所得補償」など、一見耳触りのいいことをおっしゃっています。これは、今、総理もおっしゃたけれども、今の自分たちの世代さえ良ければいいという、ある意味では身勝手な考え方にもつながりかねないのではないか。私どもは、責任政党としてそのような無責任なことを言ってはならない、将来の世代の負担までを考えて論議するということが、大変辛いことではあるけれど、安倍総理がおっしゃったような財政再建の道ではないか、と思っております。 そこで、膨大な債務残高を減少させるために、今後の財政再建に対してどのような道筋をお持ちか、財務大臣にお聞きします。 |
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| 尾身幸次財務大臣 | : | 19年度予算については、約7.5兆円の大幅な税収増がありました。しかし、そういう中で一般歳出の増加は、社会保障、やむを得ざるものをぎりぎりに詰めた中で0.3兆円の増加に留めて、先ほどの総理の答弁の通り、6兆円を越える財政の健全化を実現し得たところであり、私どもは、「厳しい財政規律を守る」という方針を貫き通せたと考えております。 しかし、ご指摘のように、このわが国の財政の現状は、国、地方を合わせた長期債務残高が平成19年度で773兆円、対GDP比で148%という非常に大きな債務残高を持っており、主要先進国の中で最悪の水準です。2番目に高いのがイタリーの121%、その他、ヨーロッパ諸国やアメリカなどは大体GDPの50%から70%ぐらいが国、地方を合わせた債務残高という水準であります。 他方、国民の負担の指標としては、所得の中で租税や医療保険、雇用保険等の保険料支払いを全部合わせた合計額がどのくらいの比率を占めているか…、「国民負担率」がどのくらいの数字かというと、わが国の場合、19年度には、39.7%で、先進国中、実質的には最低の水準になっております。(中略) 端的に申しあげると、わが国の財政の現状は、債務残高が主要先進国の中で最悪の水準にある反面、国民の負担を表す「国民負担率」は最低の水準であります。こうした財政の姿について、財政制度等審議会は、「膨大な財政赤字が存在することによって国民全体の受益と負担が乖離して、中福祉、低負担というべき状態にあり、その差は結果的には将来の世代にツケを回すことになる」という指摘をされているわけです。 先ほど申したように、19年度予算では、かなり私ども頑張って財政健全化の方向に進めていますが、なお、将来の見通しについては、現在は3人の働き手で1人の高齢者を支えているわけですが、20年後には1,8人で1人を、50年後には1.2人で1人を支えるという見通しになっており、これに伴い、社会保障関係支出の増加が見込まれるわけです。(中略) さらに、基礎年金の国庫負担の割合を3分の1から2分の1に引き上げます。そのための財源も2兆5千億円は必要であるという要因もあるわけで、こうした大きく分けて三つの要因を考えると、私どもは、子どもや孫の世代に負担を先送りしないためにも、「成長なくして財政再建なし」という理念のもとに、安定的な経済成長を実現しつつ、財政健全化にしっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。 従って、先ほど総理のお話にもありましたが、20年代の半ばに向けて債務残高のGDP比を安定的に引き下げることを目指し、2011年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化するということを目標に、歳入歳出一体改革を進めて参りたいと考えております。然(さ)は然りながら、非効率的な歳出を放置したままで負担を国民に求めるということでは、国民の皆様の理解を得ることは困難であると考えており、今後とも引き続き、国民負担の最小化を第一の目的に、歳出改革に取り組んで参りたいと考えております。 今後増加する社会保障給付や少子化への対応等につきましては、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金の国庫負担割合の引き上げのための財源も含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにする必要があると考えております。 このような考え方のもとに、本年7月ごろに判明します2006年度決算の状況や医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、与党税制改正大網に沿って、2007年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現すべく取り組んで参りたいと考えている次第でございます。 今、野党の皆様からいろいろと野次めいたものがありますが、ここは予算委員会の場であり、来週からは主として野党の皆様の質疑が始まるわけですから、国家の経済・財政についてのご論議をぜひさせていただきたい。予算委員会として、国の将来の財政・経済のあり方についての議論を私どもは徹底的にさせていただきたいと思いますので、ご論議の方もそういう点を含めて、しっかりと野党の皆様にもご議論をいただきたいと思います。 |
| 丹羽委員 | : | 大変ご丁寧な説明、ありがとうございます。やはり、そこまでお話しにならないと率直に申し上げて国民の皆さん方には、もう1つご理解しにくい面があるのではないか。そういう意味において、尾身大臣は、「足元もさることながら、将来に向けて今、安倍総理は改革を加速する」ということをおっしゃったわけですが、一つ道筋を十分に示しながら国民の皆さん方のご理解をいただきますよう、お願いを申し上げます。 そこで、話が元に戻って恐縮ですが、総理からいわゆる“確固たる財政健全化に対するご信念”をお聞きしたわけですが、改革を通じてわれわれの子供の世代、あるいは孫の世代にどのような資産を残すべきか。また、この国の将来に向けてどのような「美しい国」を切り開かれ、そのために政治は何を成すべきか、改めて安倍総理の基本的な政治姿勢、理念をお聞きします。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | 私は、施政方針演説において、「世界の人々が日本に対して憧れと尊敬を抱き、子供たちの世代が自信と誇りを持つことができるように、まさに日本を世界に開かれた活力とチャンスと優しさに満ち溢れた国にしていきたい、そして21世紀の世界にとって模範となる国にして参りたい」と申し上げたわけであります。 そのためにも、子供たちの世代にとって、また日本人にとって、あるいは世界の人たちにとって、日本というのはチャンスがある、いろいろな人たちに対して機会がある国である、そういう仕組みをつくっていく必要があるわけです。 そして、それと同時に、やはり日本人というのは素晴らしい、何と言っても家庭で子供にしっかりと躾(しつけ)ができている、日本人の動作も含めて日頃の行いが、「これは美しいな」と思ってもらえるような子供の教育を行っている国である。そして、何よりも、世界に対しても貢献をしていく国である。世界の人たちが困っているのであれば、われわれもその人たちの悩みを救っていきたい、そのための貢献を、人的な貢献、あらゆる貢献をしてくという国でなければならない。そのことによってのみ、私は、世界の人たちから尊敬を勝ち得ることができるであろう、と思っております。 そのためにも大切なことは教育であり、昨年の臨時国会において教育基本法を改正することができました。その上に立ち、教育再生を進めていくことによって、人材…、やはり何といっても一番大切な日本の資産は人材であろう、と思うわけであります。その人材を育成し、子供たちに夢のある社会をつくっていくこと、これが私たちの最大の資産ではないかと考えております。 |
| 丹羽委員 | : | 総理のご所見をお聞きいたしておりまして、夢と希望が持てるような国づくりを目指していく…、これは、政府・与党、野党の皆さん方も十分にその点を心に抱いているとは思いますが、政治家全員が考えて取り組んでいかなければならない問題ではないかという認識を新たにいたしました。 次に、わが国の経済・財政についてお尋ねしたいと思います。わが国経済は、“失われた10年”…、こういう苦しい時期を乗り越えて、今や戦後最長の「いざなぎ景気」の経済成長期間を超えたと言われています。「いざなぎ景気」というのは40年前のこと…、私の学生時代の頃のことですので、何かこの40年前と、経済が成熟した今の時点とを比較すること自体、なかなか難しいものがあるのではないかと思いますが、2002年に始まった景気回復は、2005年の11月には「いざなぎ景気」を超えて、2005年まで4年連続のプラス成長、そして3年連続の2%台の成長を実現し、今年度も、そして来年度も2%の成長が見込まれているわけです。あの“失われた10年”の時代を思い出すと、感慨無量な思いがいたします。 そこで、ここ数年の経済成長の要因と今後の経済の見通しについて、経済財政担当大臣からご所見をお伺いします。 |
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| 大田弘子経済財政政策担当大臣 | : | 緩やかですが、大変息の長い経済回復、景気回復が続いております。この要因として、主に3つがあると考えております。 1つは、企業が、過剰雇用、過剰設備、過剰債務を解消し、体力をつけたことで、少々の経済変動に耐えられるような体質になってきております。さらに、現在に至るまで、設備投資などで慎重な企業経営が続いています。 第2に、海外経済の景気が回復する中で、内需、外需、バランスのとれた景気回復が続いています。 第3に、金融政策、財政政策ともに適切なマクロ経済運営が行われています。 この3つの要因で、息の長い回復が続いております。今後の展望ですが、先般閣議決定された「日本経済の進路と戦略」に沿った取り組みを行うことで、中長期的に新たな成長のステージへと引き上げ、今後5年間で新成長経済への移行を目指すとしております。 「進路と戦略」に盛り込まれた政策が実行される場合、潜在成長率が徐々に高まることなどから、今後5年間のうちに2%程度、あるいはそれをかなり上回る実質成長率が視野に入ることが期待されます。 また、物価につきましては、デフレ脱却後、安定的なプラスの物価上昇率が徐々に実現していくと見込まれます。これによって、名目成長率については、5年間のうちに3%台半ば程度、あるいはそれ以上も視野に入ることが期待されます。当然のことながら、政策の効果の表れ方、外的な経済環境、種々の不確実性がありますので、この展望については相当な幅を持って理解される必要があります。 |
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| 丹羽委員 | : | 総理にお尋ねをいたします。昨年からは消費者物価がプラス基調になって参りまして、デフレ脱却も確実なものになりつつあるわけですが、確かに景気は良くなった、しかし、一般の国民の皆さん方にはその実感がなかなかない、このギャップをどういうふうに考えるのか。 「いざなぎ景気」の時は、先ほども申しましたが、実質成長率が平均11.6%だったのに対して、今回は2.1%に過ぎないのも事実です。しかし、何か古い話を申し上げて恐縮ですが、40年前は、いわゆる3C…、カラーテレビ、クーラー、あるいはカー(自動車)であるとか、こういうものが高嶺の花でした。そして、私どもの生活というのは、10年前に比べても、20年前に比べてみても、道路も良くなったし、社会福祉も確実に向上していることは事実であります。そして今、ようやく回復の基調が定着しておるわけです。 今、私どもは、再びこの“豊かさ”というものを国民全体で享受し、そして実感できるものとするには、いわゆる低所得者層と言われる社会的弱者の底上げ(この問題については政府もご検討を始めたようですが)、また、「ワーキングプア」と言われる、働いてもなお低所得の方々を無くし、汗を流した者が報われるような社会、こういう社会を目指していかなければならない。率直に申し上げて大変難しい問題だとは思いますが、どのような手だてをお考えになっていらっしゃるのか、総理のお言葉を頂ければ幸いです。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | ただ今、大田大臣からも説明がありましたが、われわれは、改革を進めることによって、確かに景気を回復し、そして、経済の力を強化したと言ってもいいと思います。しかし、この間の回復においては、3つの過剰の解消といった、いわば企業部門の強化によって経済の回復を見たわけであって、雇用とか、家計部門への広がりは遅れてきたわけであります。 しかし、ここに至って、雇用についてもだんだんいい傾向が見られてきたわけで、昨日の日経新聞にも、非正規雇用が減少し正規が増えてきているという記事が出ていました。そしてまた、賃金においても…、賃金によってこれは家計部門にまさに広がっていくということになりますが、初任給を上げようという企業も増えてきているわけで、ボーナスについてもそうであります。つまり、この成長戦略をさらに着実に前進させていくことが大切であって、成長していくこと、そして、景気をしっかり力強く上昇させていくことが、家計部門にも広がっていく…、国民の隅々にまで広げていくことにつながっていく、これがまさに基盤であろうと、私は思うわけであります。 その上に立って、さらに、ワーキングプアと言われる方々、非正規労働者の方々に対しても政治の光を当てていく必要があるわけであり、「パートタイム労働法」を改正して、正規労働者との均衡処遇の実現や、正規雇用に移りたいという方たちに対して、その道を開いていくことが大切だろうと思います。また、最低賃金制度が、セーフティーネットとして果たしてちゃんと機能しているかどうか、約40年ぶりの改革に取り組んで参りたいと思います。 そして、ただ今、丹羽先生がおっしゃった、いわば成長を下支えしていただいている、この基盤を強化していく、まさにそれは、成長力の底上げを図っていくという必要があると思います。働く人全体の所得や生活水準が上がっていくことを目指していきたいと思っております。そのために、官房長官を主査とする「成長力底上げ戦略構想チーム」を設置して、人材能力、就労支援、中小企業の3分野に着目をして、“成長力底上げ戦略”を短期集中的に取りまとめて、総合的に政策を展開していかなければならない。すべての人たちに対してチャンスがあり、キャリアアップしていくことが可能な日本にして参ります。 |
| 丹羽委員 | : | 最近の安倍総理のリーダーシップによって、確かに好ましい方向に流れて来ている中、私自身、大変期待をしておるわけです。 そこで、再度、総理にお聞きして恐縮ですが、政府は「再チャレンジ」を掲げ、いわゆる就職氷河期には正社員になれなかった年長フリーターをどのようにして支援していくとか、また、今お話にもあった、パートタイマーの待遇改善の促進を打ち出されておるわけです。 総理は、最近、これと同様に問題となっている「正規社員と非正規社員」、この待遇の差を、どのようにして縮小していくべきか、また、再チャレンジ支援策として、さらに何かお考えになっていることがありましたら、この際、お尋ねをしたいと思います。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | いわゆる就職氷河期に、たまたま新卒として就職の機会を迎えた方々が、就職の時期を逸し、その後フリーターとして働いているが、もう一度就職のチャンスを待っている方々がおられる。その方々が、いわば年長のフリーターとして、一つの固まりとして、なかなか、正規雇用の場を得ることができないという状況にあります。1つは、何が阻害をしているかと言えば、これは新卒一括採用という仕組みがあって、中途採用という道がなかなか開かれていないのが事実であります。 そこに着目をして、われわれは、「再チャレンジ支援策」として、中途採用をもっと広げていこう、まずは“官より始めろ”ということで、公務員の中途採用の道を開いたところであります。 企業に対しても、もう少し柔軟にこの中途採用を増やしていくようにお願いをしていたところでありますが、生命保険事業界等々が中途採用に大きく道を開いていくという柔軟な、まさに複線化した社会、働き方、の日本に変わっていく、雇用形態を変えていく…、そういう意味において、経営者側もそうした考え方に頭を切り替えていただくことによって、この年長フリーターの方々に大きなチャンスが出てくる。 そしてまた、こうした皆さん方がさらに職業訓練を受けるなど勉強して、就職するに際して選択肢の幅を広げていきたいという時は、その方々に対する支援も行っていきたいと思いますし、そういう方々を採用する企業に対しても応援をしていくことも考えていきたい、と思っております。また、25万人のフリーターの常用雇用化プランも着実に前進をさせていきたいと思います。 そして、先ほど委員からご指摘がありました「正規労働者と非正規労働者」の待遇の差を縮小していくための具体的な方向ですが、パート労働者の方々を見ると様々な形態があります。会社の中で管理職としての役割を担い、あるいは担い得るような、正社員と同一な就業実態の方から、短い時間に補助的な仕事をする方まで、千差万別あるわけです。 こうしたことをよく勘案して踏まえながら、基本給や賞与の決定、教育訓練の実施…、例えば、細かいことでは食堂の利用とか、これは大切なことですが、福利厚生施設の利用などについても、それぞれのパート労働者の就労実態に応じて、正社員との待遇の差に関して、差別的取り扱いの禁止と均衡待遇の確保の組み合わせによって、きめ細かく待遇を改善することとしたい。このためのパートタイム労働法の改正案を今国会に提出をしていきたい、と考えています。 また、正規、非正規雇用のいずれにあるかを問わず、すべての労働者に対して適用される「最低賃金制度」について、セーフティーネットとして十分に機能するように必要な見直しを行うこととし、最低賃金法の改正案を今国会に提出をする考えであります。 |
| 丹羽委員 | : | 次に、総理がかねてからおしゃっている「イノベーション」、「オープン」のキーワード、成長戦略をしっかり構築、実現していくことが大変重要ではないかと思います。 イノベーションというと、何か“技術革新”ということで、どうしても新しい科学技術だけに目が行きがちですが、私は、宅急便やコンビニなど、身近な分野も、ある意味ではイノベーションになるのではないか、と考えている者の一人です。 また、オープンについては、わが国の企業や資本が中国やインドなどの市場に積極的に進出する一方で、わが国自身もまた、海外に対してもっと開放をし、新興諸国の活力というものを取り込むことによって生産力を高めていかなければならない、と考えているわけです。 これについて、大田経済財政担当大臣、ご所見をお願いします。 |
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| 大田国務大臣 | : | 丹羽先生ご指摘のように、イノベーションというのは、単に技術革新だけではなくて、ビジネスモデルとかライフスタイルをも含む広く経済社会のシステムの革新だと考えております。 例えば、ITを本格的に生産性の上昇につなげるようなビジネスモデルが導入されたり、また、社会のITネットワークが飛躍的に進むことによって消費が喚起されたり、生産性が上昇して生産力が高まります。 オープンな経済システムについても、先生ご指摘のように、海外に進出するだけではなくて、国内も開放され、国内で質の高い企業間戦争が生まれるという相互作用を意味すると考えています。 従って、アジアとの連携強化がなされることによって相互に成長のエネルギーが高まっていくことが成長力の強化につながると考えます。 このような角度から、オープンとイノベーションによる成長力の強化を図っていきたいと考えております。 |
| 丹羽委員 | : | 次に、経済成長の果実を国民一人ひとりに、全国津々浦々にどうやって広げていくかということについてお尋ねします。 安倍内閣は、「成長なくして財政再建なし」ということを柱にしているわけですが、着実にこの景気回復を持続させ、わが国を豊かにすることが使命である、と再三繰り返していらっしゃることでございます。 しかし、パイが拡大しても、その配分が国民の隅々まで行き渡らなければ、社会全体の健全な成長というものが望めないのではないか、という意見も出始めていることも事実です。 最近の経済収益は依然として好調であるにもかかわらず、家計への波及は必ずしも十分ではない。労働分配率は、欧米諸国に比べて決して遜色はないのです。遜色はないものの、今、労働分配率そのものが、10年前の70%台から下降気味であり、現在では60%台半ばであると言われております。 そこで、大田大臣にお聞きしたいと思います。成長の果実が、率直に言って、なかなか勤労者の方に行き届かないのではないか、という指摘があるわけですが、まず、昨今の状況についてどうお考えになっていらっしゃるのか。また、私は、景気拡大を持続的に長いものにしていくためには、消費の拡大というものが欠かすことができないと考えていますが、この点について、経済財政政策の舵取りをどのようにされていくのか。重複して恐縮ですが、お願いします。 |
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| 大田国務大臣 | : | 今回の景気回復は、企業のリストラの過程での回復でしたので企業から家計への波及が遅れました。しかし、緩やかではあっても波及は進んでおります。失業率は、5.5%から4.1%に低下しました。有効求人倍率は、0.51倍から1.08倍に上昇しました。正規雇用者も、平成18年以降、増加に転じております。昨年の夏以降、波及に足踏みが見られて、賃金の伸びが鈍化していることが懸念されますが、他方で、新卒の就職内定率や初任給は改善していて全体の雇用環境は悪くありません。人手不足感も高まってきています。従って、景気回復を持続させることにより、企業から家計への波及は今後も進むと見ております。 一点追加しますと、原油価格が一時期よりも低下してきています。原油価格というのは中小企業の収益を押し下げる大きい要因だったので、原油価格が下がり、仕入れコストが下がると、常用雇用者の7割強を占める中小企業の収益圧迫が緩和され、賃金にもよい影響を与えるということが期待されます。 また、委員ご指摘の、長期的にはやはり家計が潤い、消費が拡大するということが重要であるということには、私もその通りだと思います。消費を拡大させる方策については、なかなか特効薬はありませんが、何より適切なマクロ経済運営でこの景気を持続させるということが必要であると考えます。併せて、総理からの答弁にもありましたように、非正規雇用の待遇改善や職業能力形成の支援によって全体の底上げを図っていくことが必要と思います。また、消費者の立場に立った規制改革により、潜在的な消費者ニーズに合った消費を喚起していくという構造改革が必要であろうと考えております。 |
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| 丹羽委員 | : | 思い出すのですが、一昨年の、アメリカのニューオリンズを襲ったハリケーンの「カトリーナ」は、災害の大きさもさることながら、繁栄するアメリカの、ある意味での“光と影”を白日の下にさらけ出した、という見方をする方もいるわけです。 最近、アメリカでは、いわゆる所得の上位1%の人が、全体の富の半分近くを占めている、という見方もされています。これは、何もアメリカだけでなく、いわゆる「格差」の問題は、他の先進諸国、あるいは新興諸国においても、似た傾向があります。 ですから、これは一つの国際的な潮流であることは事実ですが、わが国においては、所得のある人はますます所得が増える、所得の低い人たちは一向に所得が増えない…、そういう社会が日本にもやってくるのではないか、という不安があるわけです。この格差の問題の現状認識と状況について、大田大臣にお尋ねします。 |
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| 大田国務大臣 | : | 家計間の所得格差は、80年代以降緩やかに上昇しています。この格差につきましては、どの層のどういう格差が問題であるかということを明らかにしていくことが重要だと思います。一番今問題なのは、正規雇用がこの景気回復過程で送れたことによって、特に20代、30代で賃金格差が拡大していることだと思います。 先生ご指摘のように、先進諸国どこも高所得と低所得の二極化で悩んでおります。年の初めにアメリカに参りました時も、先日ダボス会議に出席した時も、このことが議論になっておりました。 日本の特徴的なこととしては、企業内訓練が中心なので、正規社員にならないと職業能力を形成するチャンスにも恵まれない、従って、一度非正規雇用になると、正規雇用の職が得られないまま非正規を繰り返し、年齢を重ねてしまうというところに問題があると考えます。このように、頑張ってもいい状態になれないという“格差の固定化”を防ぐことが何より重要です。そこで、先ほど総理も答弁されましたように、職業能力を形成する、ここを支援して何とか安心した職を得られるような道を図っていくこと、そして“格差の固定化”を防ぐことが重要であると考えております。 |
| 丹羽委員 | : | 要するに、国民の間にあるのは、いわゆる「格差感」なんですね。こうした国民の声に応えていくために、「再チャレンジ支援策」というものを掲げて、いわゆる自立支援を総合的な対策として打ち上げているわけですね。 ただ国民の中には、再チャレンジというのは、ある意味でチャレンジする能力のある者が再チャレンジできるんだ、という思いがあります。その一方で、障害者とか母子家庭の方々、あるいは高齢者の方々、こういう社会的弱者の方については自立支援の対策が必ずしも十分ではない、私はこう思っているわけです。 今、“格差の固定化”についてお話がありましたが、この「固定化させない」ということも大変重要なことであるわけですけれども、この問題について、どうお考えか、再チャレンジ担当大臣の山本大臣にお尋ねをしたいと思います。 |
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| 山本有二再チャレンジ担当大臣 | : | 従来の物の考え方、すなわち壮年男子中心社会での観念からすれば、身体能力が劣ればそれはもはや福祉の対象、セーフティーネットの対象、という概念がありました。しかし、障害者、高齢者、母子家庭の方々も、今日、労働の内容や環境が変わることによって、例えば、スポーツでも芸能でも、センスでも情念でも、むしろ壮年健常男性に勝るとも劣らない能力があるということが明らかになってくるわけです。 そうした観点からすれば、福祉よりも自立を支援してあげることの方が、むしろ人間にとっては自己実現の機会があり、幸せになる可能性の方がもっと高いのではないか、というような考え方を取ってこざるを得ないわけです。 障害者に例をとっていきますと、例えば、障害者に健常男性と同じことをやれというのではなくて、そこに、例えば、ヘレン・ケラーのサリバン先生のような、一つの愛情やアドバイザーがいれば、全然違う世界が広がるということを、われわれは考えております。その意味において、私ども、今度、障害者に対する大きな施策の中で考えておりますことの一つに、障害者の職業的自立に向けた就業支援があります。この予算の中に入れさせていただいておりますが、「障害者就労支援チーム」を結成いたします。特に、福祉施設の授産・更生施設、小規模作業所なんかとハローワークが手を組んで、就労支援計画の作成をし、チームが連携して支援を実践し、それを企業の方にお願いし、さらにそれをフォローアップしていくというような細かな支援策があるわけです。 こうしたことを考えながら、また高齢者については、70歳まで働ける企業の実現に向け、企業に対する奨励金を設けまして、70歳以上への定年の引き上げ策を推進する。あるいは、母子家庭の母親に対しては、母子家庭等就業・自立支援センターの設置の推進等により、就業相談、就業情報の提供、養育費の相談等の自立支援を総合的に推進するような内容ですので、必ずいい社会が実現すると確信しております。 |
| 丹羽委員 | : | 山本大臣のお話をお聞きして、私ども、大変期待をしております。 安倍政権は、発足直後の昨年の臨時国会において、長い間、懸案であった教育基本法の59年ぶりの改正、地方分権改革推進法、そして防衛省への昇格法など、21世紀のわが国のあり方にかかわる重要な法案を多く成立させたところであります。内閣の最重要課題である教育改革については、私の後に同僚の河村建夫議員が触れますので、私は外交問題を中心にして議論を進めさせていただきます。 まず、日米関係のあり方でございます。昨年の北朝鮮における核実験やミサイル発射の問題は、わが国の安全保障にとって大変不安定な要素をはらんでいます。今後、わが国の国益、安全を確保するために、アメリカとの同盟関係維持強化というのは大変重要なことは言うまでもありません。そこで、総理がおっしゃっている「世界とアジアのための日米同盟」という考え方をさらに進めていくことが私どもは必要ではないか、と考えています。来年はアメリカで大統領選挙もあります。総理は、日米同盟を強化していく上において何が最も重要であるとお考えでしょうか。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | 日米同盟関係は、利益と価値を共有する極めて重要な、最も重要な二国間関係であり同盟関係である、と思うわけであります。わが国の安全保障上または外交上、そして、アジアの平和と安定のためにも重要な関係であり、この日米関係を強化することによって、より日本の安全は高まり、アジアの安定は向上していくだろうと私は思います。 その関係強化のためには、やはり同盟関係というのは、その基盤は両国の信頼関係であろう、そして、その信頼関係を強化し、対等のパートナーとしてお互いに信頼に足る国でなければならない、と思うわけであります。ただ今、委員から「アジアにおける日米同盟」というお話がありましたが、まさにその通りであり、アジアへ日本が貢献をしていく上においても、同盟関係を梃子にしていくという…、同盟関係を基盤として貢献をしていくということも有益であろうと私は思っております。 また、現在行われている六者会合の場において、米朝協議だけではなくて日朝の協議が進まなくてはならないということをはっきりと明言をしているわけでして、これはまさに日米が連携をとっていく…、この北朝鮮をめぐる問題、日朝の関係、日朝の協議ということは、核の問題だけではなくて拉致の問題も入っているということですから、その問題についても米国が六者会合において、このことを明言しているということは重要なことであり、それこそが同盟関係ではないだろうか、私はこのように考えます。 |
| 丹羽委員 | : | 総理の今の答弁に尽きるのですが、一昨年から六者協議が開かれております。一部報道によりますと、既に米朝間で枠組みができているのではないか、というようなことも報道されていますが…。北朝鮮の問題において、わが国として譲ることができないこと、今おっしゃったことですが、国民が大変関心を持っていることですので、改めて、その六者協議の見通しと、そしてわが国が譲ることのできない条件というのは何なのか、このことについて総理のお考えをお聞きしたいと思います。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | 先ほど申し上げましたように、日米の同盟関係というのは、共通の利益、そして、共通の価値に基づく同盟関係であり、この同盟関係を強化していくということは、わが国の安全にとって、また地域の安定の向上にとって極めて重要であるという観点から、わが国が主体的にこの同盟関係を強化していく、その方向を決めた、まさに大戦略であると言ってもいいのだろう、と考えているところであります。 そこで、この六者協議において、日米でよく連携を図り、もちろん韓国、中国、そしてロシアとも連携を図りながら、北朝鮮が核の廃棄に向けて具体的な行動をとるように促していくことが重要であります。日本もその中において、そうした国々との連携を強化して、また協力もしていくのは当然であります。 一方、日本と北朝鮮との間にある問題は、核の問題だけではなくて、拉致の問題が存在するわけであり、拉致問題の解決は私の内閣の最重要課題であります。この拉致問題の解決がなければ日朝国交正常化はないということは、もう施設方針演説でも申し上げている通りでありて、この拉致の問題も必ず解決をしなければいけない。 そのためにも日朝が交渉をしていくことが必要なわけで、この六者協議の場においても、そうした枠組みができることも私は大切なことであろう、と思います。しかし、その枠組みができればいい、というものではなくて、その中で結果が出ていくことが大切だろうと思うわけでございます。 |
| 丹羽委員 | : | 大分時間が押し押しになって参りましたが、一点だけお聞きしたいのは、アメリカのチェイニー副大統領が近々来日されると聞いています。これを機会に、イラクやアフガニスタンの情勢などの課題が今、大変大きな関心を呼んでおるわけです。この問題について日米がどのように協力していくのか、ぜひとも率直な議論をしていただきたい。総理のご見解をお伺いします。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | イラクやアフガニスタン、こうした地域の安定は、わが国の国益にとって極めて重要であります。また、現在のテロとの戦いにおきましても、このアフガニスタンやイラクの平和と安定、そしてまた復興、それは不可欠なことだろう、と思います。その観点から、日本は、主体的な判断として、アフガニスタン、あるいはイラクの復興支援のために人的また経済的な支援を行っているところです。 その中で、かけがえのない同盟国であるアメリカとの連携を図りながら、そうした復興支援も行っているところですが、今般、米国がさらなる政策を発表したわけです。そしてまた、アメリカのアフガニスタンやイラクに対するこうした支援と努力が効果的に行われることを期待しております。われわれは、やはりこの地域の平和と復興を図らなければいけないという観点から、理解し、また支持もしているわけであり、今後ともわれわれは、日本として国際社会における責任を果たしていくという意味においても、アフガニスタン、イラクの復興支援のために力を注いでいきたいと考えております。 |
| 丹羽委員 | : | まだまだお聞きしたいことが山ほどありますが、時間が迫ってきたので、次に、社会保障について一、二お尋ねをします。 わが国の社会保障というのはもともと、良質な労働力を確保するという観点から、企業(事業主)が積極的に保険料の半分を負担する、ということからスタートしておるわけです。医療、年金、そして介護にしても、実は児童手当もそうなのですが…。ですから、現実問題、社会保障給付費の3分の2は保険料によって賄われているわけです。 わが国の社会保障制度については、テレビや、いろいろなマスコミで取り上げられておりますが、世界の国々に比べて、日本ほど社会保障制度が充実している国はない、こう私は確信を持っている者の一人であります。それはなぜかというと、所得のある人も所得の低い人たちも均等な医療サービスを受けることができる、均等な福祉サービスを受けることができる、そしてアクセスが確保されていることです。これは皆保険や介護保険の中でなされているわけであります。社会保障というのは、まさに、「人間の尊厳」を守る問題である、そして、国民の皆さま方の安心、社会の安定にもつながっていくのだ、こう私は考えております。 ところが、この制度について、一部に、「税方式」で…、つまり保険料は関係ないんだ、といった意見がチラチラしているわけですが、厚生労働大臣は、引き続きこの「社会保険方式」というものを持続可能なものにしていくお考えがあるのかどうか、その点についてのご決意をお聞きします。 |
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| 柳沢伯夫厚生労働大臣 | : | わが国の社会保障制度が、「国民皆年金」、「国民皆保険」ということで、世界に冠たる給付内容を実現しているというご指摘…、社会保障問題を専門として、これまで数々の実績を挙げてこられた丹羽委員のこのご指摘は、私も同感です。 これには二つ問題があるのだろうと思います。一つは、すべて税方式でということ。税の収入に頼ることがどうなのか。もう一つは、事業主負担というものをどういうふうに位置づけていくであろうか、このことが問題だと思うわけです。 まず、税方式ということになりますと、これはまず、自立の契機が全く否定されているというようなことになり、また、権利性がどうしても希薄になりますから、勢い、社会福祉政策として、この皆保険ということにかなり侵食というか腐食が起こる、縮小が起こりがちになる…、こういうことはもう否めないと思うわけです。 もう一つ、事業主負担については、今、先生ご指摘のように、沿革的には確かに、個別の企業の、自分の従業員に対する福利政策としてスタートしたということはありますが、それがだんだん時期を経るに従って、また国際的な潮流としても、大きくこの保険料負担の分担者として位置づけられるということが共通になって参りました。 私は、丹羽委員のおっしゃる、こういう皆保険を維持するための自己負担部分、自己が保険料を負担するということ、それから、折半が多いわけですが、事業主も負担しつつ、と同時にまた、不足の部分については国費の負担で税を投入する、このような仕組みは、今後とも、国民皆保険、皆年金をうまく運用するためには必須の条件であり、これは維持すべきだと考えております。 |
| 丹羽委員 | : | 柳沢大臣の手腕、力量に期待するものでございます。さて、年金改革の議論の際に大変大きな問題となったのが、あの悪名高い社会保険庁です。 社会保険庁の改革については、これまで安倍総理の強いリーダーシップの下で進められて参りました。私どもは、国民の皆様方のため、いわゆる公的年金制度はしっかりと守ります。しかし、社会保険庁の組織を守るつもりは毛頭ございません。私どもは、あくまでも国民の目線に立って、国民の期待に応えていかなければならない。社会保険庁を廃止・解体・分割することを今回、安倍総理の決断でおまとめになったわけですが、保険庁改革と公的年金制度への国民の信頼回復に向けての安倍総理のご決意を、改めてお聞きしたいと思います。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | 社会保障制度、また年金制度というのは、持続可能性も重要でありますが、その持続可能性も含めまして、国民の信頼が大切であります。その国民の信頼という観点から、年金の運用を行っている社会保険庁は、既に、残念ながら国民の信頼を失っているわけであり、やはり国民の信頼を得る組織に変えていく必要があります。 その観点から、私どもは新たな改革法案をこの国会に提出しまして、年金制度に対する国の責任というのは、当然これは確保しなければならいないわけですが、その中で新たに非公務員型の法人を設置するなど、社会保険庁を、今、先生がご指摘されたように、廃止、解体六分割をして参るわけであります。新組織におきましては能力と実績に基づく、減り張り(めりはり)の利いた職員人事を徹底していく必要があると思います。 やはり今までは、これは余りいい言葉ではありませんが、“親方日の丸”的に、徴収率を上げていくということや、実績等々とは関わりの無い人事が行われていたのではないかという指摘もあるわけで、これからは、皆がやる気を持ち、目標を持ってやっていく、という人事を行っていく必要があります。 また、民間へのアウトソーシングの積極的な推進を行う必要があります。そしてまた、特に悪質な滞納者については、強制徴収の国税庁への委託を行っていくわけであります。そうしたことにより、規律の回復と事業の効率化を徹底して、真に国民のための年金制度を守ることができる、国民の皆様に、「この組織であれば大丈夫」と信頼をしていただける組織に必ず変えて参ります。 |
| 丹羽委員 | : | 総理の強い決意をお聞きして、私どもだけではなく、国民の皆さん方も大変大きな期待を持っているのではないかと思います。 そこで、この問題にも関連して、公務員制度の改革の問題について若干お尋ねをします。私は、公務員制度の目的というのは、国、地方を通じて、国民のために貢献したいという、やる気と能力のある有為な人材に働いてもらうと同時に、国民の負担をいかに最小化するか、このことが大切だと思っております。そのためには、一つは、「省あって国無し」とも言われている縦割り行政の問題。もう一つは、優秀な民間人を、先ほどちょっと違う分野で触れておられましたけれども、中途から入りやすくすること、そしてもう一つは、能力主義、成果主義の導入、さらにもう一つは、労働基本権制約の解除のあり方などが挙げられております。 |
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| 渡辺喜美公務員制度改革担当大臣 | : | 丹羽先生ご指摘の通りだと思います。(中略)省庁再編とか官邸主導型の体制というモデルチェンジが行われたにもかかわらず、ご指摘の各省割拠主義とか年功序列人事とか、スーパー護送船団方式が相変わらず横行しているわけでございます。従って、そういうエンジンの部分を取り替えるというのが今回の公務員制度改革の基本的な発想ではなかろうかと考えております。詳細については、ご指摘になられたような事項について、今、制度設計を詰めているところであります。 |
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| 丹羽委員 | : | 公務員制度改革については、これからご議論をいただくわけですが、国民の立場に立って率直な疑問を一点だけ申し上げます。公務員の中には、民間と同じ仕事をしながら、公務員であるがゆえに民間よりも大幅な高い給与を得ている者が少なくないと言われております。 具体的な例はあるのですが、個々の例はちょっと差し障りがあるといけないので、例えば、現業部門のある職種は、平均年収が、民間が450万円なのに公務員の中には2倍をはるかに超え、1千万円近くになってきている。私、実際にデータとして持っておるわけですが、こうした「同一労働・同一賃金」ではなく、まさに安倍総理がおっしゃったような、“親方日の丸”の公務員であるがゆえに優遇される、という実態をどうお考えになりますか。 それからもう一点、財政が厳しいにもかかわらず、地方自治体の中には、地方公務員の給与の引き下げであるとか人員の削減については極めて消極的なところも少なくない。こういうことを、私ども実際、現実問題として見ているわけです。この点について、また、能弁家の渡辺大臣と、担当の菅総務大臣のお考えをお聞きします。 |
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| 渡辺国務大臣 | : | 御指摘のような、民間の給与水準よりも同一労働で二倍もの給料をもらっているなどというのは言語道断でありまして、こんなことは是正をしなければならないと考えております。 |
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| 菅義偉総務大臣 | : | 委員のご指摘は、地方公共団体の、交通関係や病院の企業職員、清掃の職員、あるいは給食の調理員ですか、そうした現業職員の給料が高いという話だと思います。私どもの調査でも、民間と較べて、大体1.5倍から2倍ぐらいになっている、このように私どもも考えております。 そういう中で、総務省としては、現業とか事務とかというだけでなく、全体をとにかく総点検してほしい、民間にできるものは民間に…、そういうところで今取り組んでおります。民間委託や国民の厳しい視線の中で徹底した行政改革を行ってほしい、こういうことを地方公共団体にも今、要請しておりますし、さらに徹底をしたいと思います。そして、いずれにせよ、やはり国民や地域の住民の皆さんから見て、そうした類似の給料体系が、適切な給料体系になるように努めるよう、要請をしていきたいと考えています。 そして、もう一点の、「地方公共団体の赤字のところでも…」というお話につきましては、地方公共団体の企業職員の給与については、地方公営企業法第38条第 3項の規定によって、国やほかの地方公共団体による類似の職種の者や民間企業の従業員の給与のみならず、その経営状況等も考慮して定めるべきであり、このことを実は要請いたしております。具体的な事例としては、給与の一部カット、55歳以上の職員の昇給停止、特殊勤務手当の廃止、こうしたことを徹底し、企業が健全な経営になるように今、取り組みをしているところであります。 いずれにせよ、こうした給料というのは、やはり徹底的な情報開示、そして給与構造改革、このことに全力で取り組むように私ども徹低して参りたいと思っております。 |
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| 丹羽委員 | : | その問題に関連してもう一点、菅大臣にお尋ねします。確かに国の方はわかりやすいのですが、地方の場合は地方自治という問題がある。なかなかこれは、“二階から目薬”という言葉が適当かどうかよくわかりませんけれども、実際問題として、その効果が上がっているのか上がっていないのか、非常にわかりにくい面があるわけです。 地方自治を侵すということではないのですが、住民の皆さん方にも目覚めていただいて、やはり、この程度の財政規模のところはこの程度の給与で我慢してもらう、そうでないと夕張市のようになってしまう、こういう意識が、ややもすると…最近は、大分芽生えて参りましたけれども…、欠如しているではないか、と思っているわけですが、この点についてもう一度、菅大臣のお考えをお聞きします。 |
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| 菅国務大臣 | : | 総務省としても、例えば、改革において職員の数も国は5.7%以上削除する、5年間…、地方もこれに準じて削減できるよう徹底いたしております。また、地方公務員給与全般については、平成18年4月1日現在、地方公共団体の過半数の61%が年額1650億円の独自の給与抑制措置を実は行っております。 |
| 丹羽委員 | : | 時間も参りましたので、最後の質問にさせていただきます。 総理は、クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』をご覧になったということを報道で聞いております。私も、この映画も観ましたが、その映画よりも大分前に、(硫黄島総指揮官の)栗林忠道を扱った『散るぞ悲しき』という本を拝読しました。この本を通じて私なりに感じたことは、栗林忠将という方は、軍規には大変厳しく、作戦立案においても名将の誉れ高い方であると同時に、非常に人間味のある方である。奥様にも、戦地から、家の修理のことなどを手紙に書いていらっしゃる。小さなお子さまにも、親の躾(しつけ)を聞いて立派な大人に成長してほしい、そんなことを書いております。 この本の中でいろいろ触れているのですが、私が感心したことは、栗林中将は、辞世の句を幾つか残しており、その辞世の句の中で、部下が次々と戦死していくことに、「悲しき」という言葉を使っていることでした。当時は、「悲しき」などと言うことは言語道断でした。ところが、この辞世の句が、新聞に発表された時には「悲しき」ではない言葉に改変されている、という説がこの本の中にはあるのです。 私は、この本を読んで、大切なことは、こうした無謀な戦争というものを引き起こした政治家や軍部の責任というものは大変大きいものがある。政治家の一人として自らを戒める一方で、戦争というのは、一旦起きてしまえば、雪だるまが坂を転げ落ちるように、為すすべもなくなってしまう。指導者個人の、先ほど申し上げたような人間味溢れた思いなどは、全く無力なものになってしまう、ということをしみじみ痛感いたしました。 総理も、恐らく、一国の最高指導者の目で、『硫黄島からの手紙』という映画をご覧になったと思いますが、どのようなご感想をお持ちか、お聞かせ頂きたいと思います。 |
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| 安倍内閣総理大臣 | : | 先生ご指摘の本は、梯久美子さんが書かれた『散るぞ悲しき』だと思いますが、私も拝読しました。また、栗林忠将は、同僚議員の新藤義孝議員の母方の祖父に当たられていることもあって、新藤議員から、『硫黄島からの手紙』という、米国勤務時代からの書簡を集めた本を頂き、それも読ませていただきました。今、先生がおっしゃった、「小さなお子さんに(手紙を)」というのは、新藤議員のお母さん、「たか子さん」のことです。たか子さんのことを栗林忠将は「たこちゃん」と呼んでいて、最後の手紙、いわば、手紙をそろそろ出せなくなる寸前の手紙では、「たこちゃんへ」と書いていて、「自分の心残りは、小さなたこちゃんをかわいがってあげる時間がなかったことだ」、このように記していました。栗林さんの家族に対する愛情の深さを改めて感じたような次第であります。 この映画では、多くの兵士が家族に書簡を送っており、それも一つのテーマであったのだろう、と思います。あの“灼熱の地獄”で戦った兵士たちは、まさに故郷に残した両親や愛する人たちのために何とか頑張ろう、その危険をできる限り先延ばしするために自分たちはこの苦しさに耐えよう、ということだったのであろう、と思うわけです。 戦後、私たちは、平和で、そして民主的で自由な日本をつくってきたわけであります。過去の教訓もしっかりと胸に刻みつけながら、私たちが営々と築いてきたものに対して誇りを持ちながら、平和に対して、またわが国の国民の生命と財産を守るということに対して、政治家としてさらに責任を果たしていくという決意を新たにしたところでございます。 |
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| 丹羽委員 | : | ありがとうございました。以上で終わりますが、総理の基本的な方向性は全く正しいことでございます。これからも国民の期待に応えて頑張っていただきたい、ということを申し上げて、私の質問は終わります。 |
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