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国会

2007年5月28日
「丹羽雄哉氏講演会-当面の政治課題と今後の政局-」


 ご多用中にも拘わらず、皆様方、ご出席をいただきまして、有り難うございます。日頃、皆様方のご厚誼に対しまして、心から感謝と御礼を申し上げます。
 さて、国会は終盤国会を迎え、天下分け目の戦いと言える参議院選挙の公示日は、7月5日が有力日とされていますが、もう1か月あまりに迫って参りました。
 教育関連三法案、社会保険庁改革、公務員改革などの重要法案が山積しておりますが、特に参議院では非改選議員を頼りに委員会運営を連日、定数割れの薄氷を踏む思いで運営しており、率直なところ、永田町は7月5日公示、7月22日投票日に向けて、選挙戦一色の様相が日ごとに強まっております。
 現在、参議院は定数242、過半数は122であります。このうち、与党の非改選は58でありますので、今回の選挙では122引く58。つまり64以上が自民、公明連立与党で欠かすことの出来ない、最低ラインであります。私どもは、仮に手堅い組織を持つ公明党が、出馬予定の選挙区5と比例区8人の13人を全部獲得すると仮定すれば、自民党は51議席獲得が必要最低条件となります。果たして、比例定数48議席の内、どのくらい議席を取るのか。15議席か、16議席か、17議席か、あるいは18議席か、まったく予測がつきがたいのが現状であります。選挙区で2人区、3人区、あるいは東京都などの5人区は立候補者全員が議席を獲得することは不可能ではないと考えております。つい先だって、東京選挙区で公認が決まったばかりのテレビキャスター丸川珠代さんはそのキャリアといい、人柄といいこれから台風の目になる可能性を秘めております。
 問題は、1人区の29選挙区のうち、どれだけ獲得できるか、今回の選挙の命運を決するとも言われております。1人区で最終決定した山形地区の篠原みえこさんも、今や頼れる女性リーダーとして健闘しており、県連がまとまって支援すれば、これらの方々の当選が可能になります。厳しい戦いではありますが、私どもは、そう悲観することもないと考えております。

 ここにきて安倍内閣の支持率も持ち直していると報道もなされております。私どもは、今や、「いざなぎ景気」をはるかに超える緩やかな回復基調に水を差したり、小泉改革以来の改革路線を逆戻りさせたりしてはならない。年金の税方式や農業の最低保障など絵空事を次々ばら撒くようなことを言う民主党に、国民の支持が集まるはずがありません。そのためには、なんとしてもこの参議院選挙で国民の皆様方のご支持を頂き、政局の安定を図るなかで、少子高齢化社会における、また、グローバリゼーションの中での我が国の毅然とした進路を国民にお示しすることが最大の課題であると認識しております。

 今回の参議院選挙は、基本的には安倍政権8か月の実績に対する国民の評価を問う選挙であります。安倍総理は就任して、わずか十日で、それまで関係が冷え切っていた中国、韓国を相次いで電撃訪問し、友好関係を確立しました。アジア外交においても我が国の”主張する外交“を展開しています。
 また、好景気の影響もあって赤字国債の発行を、これまでに無いほど縮減させる一方で、懸案の教育再生に向け着実に成果を挙げております。確信の部分を安倍総理自ら取り組んでいるわけでございます。
 そして憲法改正問題については、国民投票法案がようやく成立を果たしました。憲法改正の手続き法が60年間にわたって、整備されず放置してきたことは法治国家としてまったく残念なことであります。それが、憲法施行60周年の節目に成立したことは、護憲、改憲を問わず大変、意義の深いことであると評価しております。私どもは、現憲法の中で培われてきた民主主義、平和主義、基本的人権の尊重などを大切にしながら、60年間の歳月の中で、いまや国際情勢にそぐわなくなってきている部分について、国民のご理解を得ながら新たな道筋を示すことが私たちの大きな責任であると痛感しております。

 安倍総理大臣は集団的自衛権について有識者の懇談会を起ち上げました。これに関連して、「集団的自衛権は憲法改正によって容認されるものだ」との意見が一部にありますが、現実問題として憲法は国会の中で三分の二の賛成を得なければ国民投票にかけることが出来ません。憲法改正提案ができるようになるまで、三年間は、調査や準備を行ったり、18歳までの投票年齢を引き下げたことに伴う、刑法、民法、少年法などとの整合性を図っていくことなどを考えると、憲法改正まで少なくとも5年や10年はかかるというのが、一般的な見方であります。
 その一方で、国際情勢はきわめて緊迫の度を増しつつあります。朝鮮半島をめぐる核、ミサイルおよび、拉致問題は一向に解決の兆しが見えない。まず、大切なことは国連憲章の下、世界に再び侵略戦争が起きないようにすることであります。その上で、パワーゲームが繰り返されている国際情勢の中で、いかにしてわが国の平和と安全を守るために強固な安全保障体制を確立するかということが国益にもっとも合致することだと考えております。
 それまで、集団的自衛権については、国際法上は認められているが、我が国としては憲法解釈を理由に敢えて行使を否定するとの立場をとって参りました。私は、我が国にとって平和の維持をいかにしたら堅持できるかとの立場に立って考えることが大切であります。たとえば、よく例に出される米軍艦船と自衛隊の艦船が近くで行動しているときに米軍艦船が攻撃されていても、集団的自衛権の行使が禁止されているとの観点から一切救済することが不可能であるとか、また、PKO活動において、仮に、我が自衛隊と共に活動している外国の部隊が襲われ、救援の要請が出されたときにも、同様に集団的自衛権の問題を盾に一切活動することが出来ないという主張は、あまりにも非現実的と言えないでしょうか。
 明らかに、我が国及び同盟国などに対する、脅威であれば、それが個別的自衛権の範囲内であれ、いわゆる集団的自衛権に仮に抵触する可能性がある場合であっても、専守防衛を逸脱しない範囲で、自衛力を行使することはもはや時代の大きな流れと言えると思います。当然のことながら、私は、国会での十分な議論を経て、国民の理解と合意を得ることは不可欠なことと考えております。
 私は、集団的自衛権のあり方については、憲法改正の暁には集団的自衛権そのものを容認すると同時に、その発動については「安全保障基本法」(仮称)といったような別途の法律を設け、その中で一定の歯止めをかけることが理に叶っていると考えています。従って、この秋にも結論が出される有識者による研究会の結論が、直ちに憲法改正に影響を及ぼすことはあり得ないと言えます。
 しかも、わが国は国連安全保障理事会の理事国の仲間入りを果たすことを悲願としております。私どもは、この国の平和を守るためにも、現実に対応した対策というものを検討することは当然のことだと考えます。繰り返しになりますが、大切なことは、2度と戦争を起こさず、わが国の平和と安全を守るということであります。

 さて、私は今年の2月から3月にかけて中国を訪問して参りました。駆け足でありましたが、温家宝総理や政府要人と北朝鮮の核や拉致問題などについて率直な意見を交換し、大変意義のある訪中であったと思います。皆様、お帰りの際に、『私の訪中記』と題した小冊子をお持ち帰りいただくことになりますが、ご一読いただければ幸いであります。
 中国では、核、拉致問題以外にも、私どもはエネルギーや環境問題など前向きないくつかの提案を行いましたが、今注目されておりますのが日中医薬品共同開発であります。今、「がん」による死亡者は全世界で年間700万人に達していますが、その半分がアジア地域の人たちであります。「がん」は今や人類の最も脅威と言われております。中国では医療保険の受給者が全人口の一割にも達しておりません。中国では十分な放射線や抗がん剤などの治療がなされていないのが実情です。私は気候・風土・人種差・体格差などが、あまり違わないアジア人同士が、手を携えて新薬開発に取り組んでいくことが大切だと考えております。
 私たちの訪中によって、この「がん共同研究開発」を温家宝総理も承諾し、「日中友好の象徴だ」と前向きに取り組んでいく意向を明らかにしました。6月の下旬には2、30人規模の大型ミッションが中国を訪れ、いよいよ、その第一歩がスタートします。私は「戦略的互恵関係」とはまさにこのことだと確信をいたしております。
 この日中医薬品共同開発を今後起ち上げていくためには、具体的にどのような仕組みでどのようなことを進めていけば良いか。例えば、企業の方々が心配している知的財産保護について中国側の認識を高めてもらうことも大事だと思いますし、また、日本と中国の間で、有効性評価のガイドラインやGCPといった様々な規制の整合性や透明性の確保を図るなど、共同開発のための環境整備を進めることが、まず必要になって来るものと思います。
 いずれにしても、この日中協力を契機にして、我が国を含めた国際共同治験が進めば、我が国製薬業界にとっても審査や治験の迅速化などの効果が期待できるものと考えております。

 最後に、数多くの年金給付漏れ問題は、国民にたいへんなご迷惑とご心配をおかけしております。これは、年金制度が分立しており、転職すると新しい年金手帳をもらうことから起きたものです。平成9年の基礎年金番号の導入で一本にしましたが、それ以前のものは、統合されずに残っているから生じた問題です。いずれにせよあきれてものが言えないとはこのことか、一刻も早く社会保険庁解体法案を成立させなければなりません。
 私どもは、今国会で議員立法を提案し、本来、得べかる給付額を全額支給するように致します。給与証明書や領収書などを紛失して国民が証明できない場合でも、国に保険料を納めた何らかの記録が残されていれば、当然、救済する方向で検討したいと考えています。年金を貰えず亡くなった方に対しては、そのご遺族に未支給年金を渡すことにしたい。
 もし、仮に参議院選挙で与党が過半数を割るような事態が発生すれば、次の衆議院選挙は間違いなく「政権選択選挙」になり、私ども衆議院議員にとって大変厳しい選挙になると覚悟をしなければならない。私たちは自分の選挙として取り組んでいかなければならないのは言うまでもないことです。
 いずれにしても、今回の参議院選挙では、自民党三役の1人として全国を飛び回り、国民の皆様方に安倍政権のご支持を訴えていく決意であります。皆様方の温かく力強いご支持ご支援を賜りますことに御礼申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。本日はまことにありがとうございました。




(グランドプリンスホテル赤阪にて)
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