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活動報告-講演・会合

国会 地元

講演

2008年2月14日 
「母子家庭の母の就労支援を」

(敬称略)

和田:
 超党派の「母と子の支援議員連盟」は丹羽雄哉会長、円より子事務局長のご尽力により発足して2年半ほどたちました。この間大変厳しい社会情勢、経済情勢の下で、母子家庭対策は一定の前進を見たといえるかと思いますが、なお早急に改善を要する多くの課題が残されています。
本日は、母子家庭の母と子の幸せを図る観点から、まず始めに現在の母子家庭をめぐる状況、施策の状況について、両先生がどのように評価されているかについて、お伺いしたいと思います。

丹羽:
 それでは、私の方から始めに申し上げます。全国的な母子家庭の状況をみますと、和田先生からもご指摘がございましたが、景気の動向などに大きく左右されることがあげられます。平成14年の母子及び寡婦福祉法の改正、そして平成15年に円先生とご一緒に取り組んで議員立法で成立を見ました「母子家庭の母の就労支援に関する特別措置法」による就業支援策等によりまして、母子家庭の母の年収には若干の改善がみられたものの、雇用環境そのものは、依然として厳しい状況にあります。現在、母子家庭の年間収入は213万円で就業収入は171万円と、一般世帯の4割程度と低い水準にとどまっております。低所得者が多くを占める状況に大きな変化はありません。
 私の地元で具体的な事例を調べて参りましたが、ある30歳の女性の方の例を挙げたいと思います。3年前に離婚され、現在は、6歳と4歳の子どもさんとアパート住まいをし、日中はファーストフード店で週に4日程度、時給880円程度のアルバイトしております。さらに空いた時間帯にポスティングとかセルフサービスのガソリンスタンドの仕事をいれながら、生活費を稼いでいるという状況です。実家が遠いために、親には頼ることができませんから、子どもは保育園に預けています。年収220万円程度で、このうち、自分の稼働所得が160万円程度で、残りは児童扶養手当など、社会保障の給付によって賄われていると聞きました。本人は、時給が高い夜間の時間にファーストフード店で働きたいが、小さい子ども達だけを自宅においていくことは心配なので、働きに行くことができないといっていました。  
 今、母子家庭のお母さんのおよそ85%が働いていますが、働きの中味を見てみますと、常用雇用が43%、臨時・パートもほぼ同じ割合でして43.6%となっています。これは母子家庭に限らない現在の日本雇用全体の問題だと思いますが、私ども議連としましては、いわゆる母子家庭の皆様に対する配慮のあるきめ細かな対策が必要だと考えています。

円:
 本当に丹羽先生のおかげで超党派でこの特措法をつくることができましたし、また「母と子の支援議員連盟」も発足して2年半が経過致しました。先生がおっしゃった母子寡婦法の改正された平成14年の時といいますのは、28万9,836件と離婚件数が最も多かった年で、未成年の子どもがいる離婚件数も最高で17万4,042件と、およそ全体の6割の離婚世帯に未成年の子どもがいたのです。そして離婚する時のお母さんの年齢も、かつては20代が最多を占めていましたが、婚姻年齢があがってきていることもあって現在は30代が圧倒的に多くなり、子どもの年齢は0歳〜2歳が多いのです。0歳〜2歳の子どもを抱えて、例えばハローワークに行っても、どうしても小さい子がいる人は仕事につけないという状況があります。そして仕事に就けないと保育所に行けない、また住居も借りられない状況になってしまいます。
 私自身も、娘が5歳のときに地上げにあってアパート探しをしておりましたら、「申し訳ないけど、小さいお子さんがいる方はお断りです」と娘の目の前で言われたこともありました。平成14年は不況が長引いて離婚も増大し、大変厳しいという状況でしたから、丹羽先生にもお願いして、子育てと仕事、安定した雇用の両立ということで特措法を立法させて頂いた訳です。それから5年近く経ちまして、この3月31日で特措法の期限が切れることになります。おかげさまで特措法ができましたことから、例えば非正規ですが仕事につくお母さんも増えてきたりしてはいます。ただ、派遣なんかですと契約期間のあとは、どうなるかわかならないという不安定な状況は母子家庭にとっても例外ではありません。またそれだけでは食べていけませんから、先生のお話にありましたように、夜、或いは土日に働くというようにいくつもの仕事を掛け持ちでこなすということになりますし、子どもが病気であっても置いて働きに出ざるを得ないことになる訳です。
 今、1世帯あたりの家族数は一般世帯ですと2.65人、高齢者世帯は1.6人ですが、母子家庭は3.3人もいます。そうすると、先ほどの先生の平均年収を頭割りしますと、母子家庭の一人頭の平均収入が65万円となります。高齢者でも189万円あります。しかし、これは死別の母子家庭を入れた数字で、離別の母子家庭は63万円と、皆さん大変厳しい状況にあります。深夜労働の時給が高いので子どもを置いて夜働きに行ったり、土曜日の午後から日曜日の朝まで働いたり、毎週土曜日は子どもを置いて深夜労働をするといったお母さん達も多いのですね。
 それでも特措法ができて、この5年間でいくつかのNPOが就労支援、特に子育てとの両立ができるように取り組んでいただきました。いろいろと課題はあるのですが、在宅就労を試行錯誤しながら支援してきた中で、お母さんたちが夜中に子どもを置いて外に出ないで、在宅でITを使った、いわば昔でいう内職ですけども、ちょっと近代的な内職をやり始め収入が少しアップしたし、何よりも子どもが寝ている間に外にでないで、また子どももお母さんの姿を見ていられるということで、親子関係がとても安定的になったとききます。この特措法によって母子家庭の生活はいい方向にきていますので、いろいろな懸案はありますが、在宅就労支援策のほうを補強してさらに延長することができればと思っています。

和田:
 今のお話のように、母子家庭のかたちもかなり変わってきまして、かつては死別が中心でしたのが、今は離別、生別が9割を占め、低年齢の子どもを2人ぐらいお持ちであるという姿になってきています。国際的にみても、児童福祉の観点から母と子がいっしょにいることが基本だと思います。しかし、母子家庭のお母さんがたがは正規雇用の仕事につくのが厳しい状態が続いています。そこで、在宅でできる仕事の重要性が増していることになります。お母さんが仕事から夜遅く帰ってきたとき自宅は火災のさなかであり、留守番の小さなお子さんが3人、でしたでしょうか焼死されるという大変痛ましい事件が報道されたことがありましたが、これに類した事件も度々報道されています。大変厳しい生活実態の中で母子家庭のお母さん方は子育てと就労の両立に大変ご苦労をされているわけです。
 これまでの国会の議論、そして議連におけるご議論を伺いましても、母子家庭対策は単に金銭的な援助ということではなくて、お母さんの自立の視点、そして子育てと仕事とを両立させる視点の重要性が指摘されてきました。議連でのご議論や関係者のご尽力もあって、特措法も着実に成果を上げるようになってきている、という中で今、5年間の期限を終えようとしている、という状況かと思います。
 そこで、時限を迎える特措法について、今後どのように扱うのか、より実効性を高めるにはどのようなに見直しをすれば良いのか、両先生からお話を伺えればと思います。

円:
 去年の10月に、丹羽先生の下で「母と子の支援議員連盟」の会合がありまして、そのときの議事録があります。この5年間、NPOが試行錯誤しながらIT活用型の就労支援システムに取り組んできましたが、やはりしっかりとしたシステムを作っていく必要があると思います。まず一番の問題点は、在宅就労のお母さん達に聞きますと、1カ月は仕事はくるんだけれども、そのあとはない、不安定だということがありますので、国や地方自治体あるいは公益的な法人等が、そういうNPO団体に、定期的に常時仕事が発注できるような何か特別の措置ができないかという問題があります。
 それから次に、民間企業からの発注が増えるように何か民間企業にインセンティブをつけられないかということですね。その時の議事録の中に自民党の先生も、受注機会の拡大が重要な問題だと指摘されています。会計法・予決令の原則の特例を設け、母子家庭の母へ仕事を出す企業やNPOや社会福祉法人等に対しては、奨励促進の観点から競争入札の原則を緩和するとか、母子家庭の母を一定以上雇ってたいり、子育て支援の配慮や支援措置を講じている企業を顕彰するといったような仕組みが必要ではないでしょうか。随意契約については、わが党がいろいろと反対をしているところで、随契という言葉を出すのも憚られる状況ですが、競争入札ですと、どうしても強い企業のほうに仕事が行ってしまって、母子家庭のお母さん達の方に仕事がこない実態ですから、そういう言葉を使わずに何かいい方法がないものかと考えております。そんなことが、もし今回の特措法に盛り込めれば、お母さん達の自立が高まると思うのです。

丹羽:
 私は、母子家庭のお母さん方の仕事がなかなか見つからない、そういう状況が現実だと思います。在宅就労ということで仕事をやれる方はまだいいんです。先ほど例に挙げた地元のつくばの30歳の女性の方は、自分も安定した仕事に就きたいけれども、パソコンや経理のスキルもないので、なかなか見つからないし、いい仕事を得るために日中仕事を休んで面接にいくことも難しいといっています。
 もちろん在宅就労も増やしていかなければなりませんが、ただそれで全てが救われるわけではないと思うわけです。パソコンスキルがない方をどうしていくか、ということも重要な問題だと思っています。
 平成14年の改正は、流れを大きく変えましたね。今、和田先生からお話がありましたけれども、これまではどちらかというと給付中心でありました。そこを改めて、ひとつは「子育てと生活支援」、二つめが「就業支援」、そう、今、まさにテーマになっているところです。そして三つめが「養育費の確保」、四つめが「経済的支援」、この4本の柱というものを総合的に進めて、母子家庭のお母さん方が少しでも苦しい立場から開放されるようにということであります。就業支援については、母子家庭の就業自立支援センター事業の推進、母子家庭の能力の開発のための給付資金、個々の実情に応じたハローワークなどの連携による母子自立支援プログラムの策定などといったものを国が推進しています。
 それでは、国が推進していることを地方が実際にどれほど行っているかということを、地元茨城県で調べてみました。こういった問題について大都市などは積極的に取り組んでいますが、人口が4万から5万人の都市になりますと、国の考え方が十分に浸透しておらず、行き届いてない傾向があります。国が決めた施策を実際に地方自治体がどのように受け入れて進めていくかということになりますが、これは、まさに母子家庭のあり方に関する地域格差という問題であり、これから重要になってくるのではないかと思います。

和田:
 今、お話にありましたように、就業対策等を考える上で、大都市とそれ以外の地域での違いを踏まえたきめ細やかな対応が必要だということかと思いますが、この点については、円先生、いかがでしょうか?

円:
 実はですね、北海道や沖縄、高知、青森といった最低賃金が低いところでは実際に離婚が多いんです。「金の切れめが縁の切れめ」という言葉は好きではないんですけれども、経済的にうまくいっている家庭はそれほど離婚はなくて、やはりうまくいっていない家庭に離婚が多いのですね。例えば、秋田でありました娘を殺害した事件、あの家庭も母子家庭で、離婚母子家庭はそういった事件を起こしかねないみたいに思われるのは問題ですが、相当な貧困の連鎖だったわけです。地方には大都市以上に働く場がなくて、最低賃金が低くて、母子家庭はワーキングプアの典型のようなものです。今、若い人達の中で母子世帯化という言葉が、社会学の用語で出てきた位、もともとの典型なんですが、そこには地域格差がものすごく出ていると思いますね。そもそも地域の経済を活性化するという大きな問題があるのですが、その中で個人の問題だという、小さな政府、サッチャーさんのような考え方ではなく、確かに個人の自助努力は必要だけれども、ただの就業支援ではなく、先ほどの茨城の方のように自分はスキルがないとおっしゃる方達に、訓練をきちんとして、訓練をしている間も、なんとか再就職ができるように何ヶ月間か生活の面倒を見るような、相当抜本的なやり方をすれば、逆にその後もただ給付のばらまきだけではないかたちになっていくのではないか、と思います。訓練は相当重要ですよね。

丹羽:
 今、円先生の方から「金の切れめが縁の切れめ」と思いたくないけれども、多いんだということで、私自身もいろいろとお話を聞いていますと、現実問題として、実際に生活ができない方々の間で離別が少なくありません。これはさびしい話なんですね。特に母子家庭の方々は今の市場競争の中で生きていくことができない、そういう中にあってどうやって光を当てていくか、という問題です。わが国の抱えている様々な病巣の象徴的なものとして、母子家庭を捉えていかなければならないと考えております。
 先ほどの、地元の茨城の方は、離別したあとは、月に3万円ほど養育費をもらえる時ともらえない時があるようです。夫の方もあまり収入は良くない、そういうことだと思っています。

円:
 やはり経済的に失われたこの10年、15年の間に相当、倒産、リストラ、自殺が増えました。そういうところの経済的要因からの離婚があったのではないかと思います。本来は父親が養育費を払い、お母さんの生活が安定していれば、余裕をもって子どもを育てることができます。子どもを高校にもあげられて、貧困の連鎖が起きないで済みます。なんとかそこを後押ししてあげたいなと思います。

和田:
 非正規雇用、派遣というものが増えてきていますが、とりわけ小さな子どもを抱えながら職を探されている母子家庭のお母さん達はご苦労をされています。そのような中で、いくつか問題点があると思います。
 まず、子どもの年齢によってもかたちを考えなければならないでしょうね。ごくごく低年齢の時と、或いは学齢期以降もう少し大きくなってきた時では異なるかと思います。母と子が共に生活をしていくということが大事なポイントのひとつですから、小さな時には在宅でできる仕事の拡大、安定継続的な仕事受注が不可欠ですし、そのための受け皿ということを考えなければいけない。
 また雇用され仕事を持つとすれば保育所が重要です。地方都市では、まだ乳幼児、低年齢児の保育所受け入れが立ち遅れており保育体制の充実が必要な状況にありますから、そのことによって正規雇用の道が閉ざされてしまっています。母子寡婦法の改正により優先入所の仕組みはできたけれども、そもそも乳幼児を保育所に受け入れる体制が整っていないのでは正規雇用も難しいわけですから、在宅就労にもっときちんと光を当てて伸ばしていくことが大事になってくるといえます。

丹羽:
 ご存知のように、母子及び寡婦福祉法で、母子家庭については保育所の入所について特別の配慮が定められています。保護者の病気や残業などの場合には、子どもを児童養護施設などで一時的に預かる子育て支援事業などが実施されております。子育て支援については、母子家庭に限らず、地域で子どもを健やかに育成するという観点から、保育所の拡充、病中・病後児の保育、学童保育など様々な問題があり、これを充実させていくことが大事ではないかと思っています。政府が今国会に提出する予定の児童福祉法改正案において、一時預かり事業であるとか家庭的保育事業、いわゆる保育ママですとか、地域における子育て支援策がもりこまれています。
 先日、「博士の愛した数式」という映画を見ました。とても感動しました。家政婦をしている母子家庭の母親の勤め先の風変わりな数学者、寺尾聰が演じていますが、この数学者と子どもが交流する中で、様々なことを学び成長する過程が描かれていました。子どもは母親だけではなく、様々な大人との関わりを通じて成長していくのであって地域で子ども達が大人と関わりをもてるような社会、これもまた同時につくっていかなければならないと思っています。また、もう一点、これも中国の映画の話なんですが、「きれいなおかあさん」という、シングルマザーの母と子を扱った映画があります。これは、耳の不自由な子どもが補聴器をつけているのですが、けんかをして壊れてしまった。補聴器を買うために、母親が飲まず食わずで働いて与えるという、母親が、父のいない子どもに対する強い愛情を改めて感じました。母親が子どもに対する強い愛情というものを、私達が支えていくという環境は何よりも大事だと思います。

円:
 私も子どもが病気のときに、37度をこえると保育園に連れていけないので、37度2分あるのに、36度7分と書いて子どもを連れて行ったことがよくあります。それができないのは水疱瘡や麻疹のような感染症の病気の時で、その時は絶対に連れていけません。私だけでなく、仕事を求めて大都会に出てきたお母さん達は実家が遠いですから、誰も病気の時に見てもらう人がいない。パートですので、休むと給料が減るから、子どもを置いて仕事に出る人がたくさんいたんです。そういう時に、病時保育があればいいと言う要望は根強いですね。本当にそれを充実させて頂きたいのと、もうひとつは保育所という箱モノをつくるのではなくて、今度政府のほうも充実していく保育ママのような制度も重要だと思います。
 以前、北欧に行きましたときに、保育ママは、自分の子どもとよその子どもを2〜3人育てれば、パートに出たときのお給料よりもいいお給料になって、かつ、とても近所の人たちが助かるという保育ママの制度がありました。今回やっと保育ママの基準が緩和されますけれども、例えば母子家庭のお母さんは、たいていアパートで狭いので、そこに子どもを3〜4人ひきとるということはできませんが、母子家庭のお母さんと定年後子育てを終えたお母さんとが組んで、そちらの子どもがいなくなった広いおうちで、ペアで近所のお子さん5〜6人を集めてできるような保育ママの制度ができれば、母子家庭のお母さんは子どもを育てられて、また保育ママとしてお給料をもらって雇用の場にもなる訳です。先ほどの在宅就労のITのほうは、定年後の人たちが技術支援もし、また父親役割や祖母役割を担うなどすれば、先生が今まさにおっしゃった、様々な大人と関わりがもてる社会で、お母さんの子どもに対する愛情を応援するシステムというものができるのではないか、と思います。

和田:
 在宅就労という面でNPOが母子家庭のお母さん方にインターネットを通じてスキルアップの訓練研修を行い、これを通じて一定の技量に達したお母さん方に翻訳・会議録作成、マッピングなどの仕事を斡旋、委託、発注などを行っています。しかし、問題は仕事の受注、安定した仕事量の確保ということになります。一般企業の論理、市場原理ということになりますと、やはり低価格とか実績とかが求められます。官公庁でも所定の規模と実績が必要な要件となってきます。随意契約を排除し一般競争入札でいくとなると、こうした母子家庭の団体というのは一定規模、或いは実績というものがないでしょうから、結果として排除されてしまう、このような問題があります。お話のように母子家庭や障害者の自立の支援という福祉目的のものに対して、運営主体の公益性・安定性、事業内容や事業目的などについて一定の認証する仕組みがあって、合致するところであれば、例外的に官公庁からも発注を受けられると、そういった仕組みができるといいなと思うんですね。官公庁に限らず、一般企業等にも広がりを持つことも期待したいところですが。

丹羽:
 私は随意契約の話が、この母子家庭の就労の仕事に及んでくることは大変悲しいことであって、母子家庭という特別な方々に対しては、当然のことながらオープンに情報開示しながら、やはり随意契約で母子家庭の方々が仕事ができやすいようなシステムをつくっていく必要があると思います。これは当然のことながら、情報開示をすることによって何か不明瞭なことが起きないように、というプロセスで詰めていかないと、先ほども少し申し上げましたが、やはり自由競争の中で、全て競争の中で決めていくのだというやり方では、母子家庭の方々は、この土俵に乗ることができません。
 まさに今、“ねじれ国会”ということで、いろいろな面で与野党が対立していますけれども、私は議連を中心として、超党派でこういった問題を解決していくことが、母子家庭、ひいては国のためになると信じています。

円:
 大変心強いご意見を頂きました。

和田:
 本当ですね。

円:
 例えば、官公庁事業の何パーセントかは母子家庭に発注しなければならないような、何かそのようなかたちで、例えば、弱者就業法人として登録し、そこは先生がおっしゃるように透明なかたちでどうなっているかがわかるようにしておけば、そこには発注してもいいというような、何かそういうものがつくれるといいなと思います。もうひとつは、この5年間、実際にお母さんたちが完成品をつくれるのか、という問題があったり、また、在宅就労は、個人情報保護法に抵触しないか、という問題のご指摘がありましたが、きちんと切り分けて、個人情報保護法に抵触しないシステムができましたし、また、いろいろな方々が支援して、ちゃんと納期までに完成品が出せるような、そういう仕組みもできてきました。

丹羽:
 そういうような指導をしてさしあげないと、いけないわけですよね。勝手にやれというような突き放した考え方ではなくて、やっぱりそのような母子家庭を中心とした団体に対して、指導支援していくという姿勢が大事ですね。

円:
 それが先ほど先生がおっしゃったように、子ども達に対する様々な大人が必要だというのと同じで、ボランティアで定年後のITが強い人達に、在宅就労支援士みたいなかたちで、地域の50世帯ぐらいの母子家庭のお母さん達の指導をしたり教えたりするような仕組みがつくれると、だんだんとうまく回っていくのではないかと思うんです。

和田:
 米国などでも、そういう方に会うことがよくありますね。高齢の元IT技術者の方が、地域の方々に指導する、そこにはシングルマザーもかなり参加していました。
 また、低年齢のときは在宅主体かと思いますが、ある程度の年齢層にきましたとき、例えば小学校中高学年になってきた時に、正規の就労を望まれるケースもあると思うんですね。しかし、そういった時に就労が難しいという状況があるわけですね。高年齢者とか障害者については、法定雇用率といったものがありますが、母子家庭のお母さんに対しても、それに近いことが考えられないか、そういうことも論点の一つかなという感が致します。

円:
 例えば、父子家庭のお父さん達も、せっかく正規社員で収入も高かったのに、子どもを育てるために残業のない職場に変わって、所得が大変低くなっていらっしゃる方もおいでになるわけです。あと、子育てが終わって、持ち家もない、高齢になってきたから、ますます仕事を探すことが難しい、いわゆる寡婦ですね、子どもは未成年じゃないという、その人達が今、圧倒的に無年金者になったりして大変なんです。

丹羽:
 前回の対談のときに、円先生がお話になった「クレーマー・クレーマー」を思いだしますね。父親役のダスティン・ホフマンが、会社を首になるという時に気が狂ったように次の職場を探すという、職が無いと子どもをひきとれない、裁判中で大変不利な扱いを受ける、このシーンを思い出しました。

円:
 児童扶養手当は、今、母子家庭だけですけれども、これからは所得の低いお父さん達にも広げられたらいいかなと思います。まあ、あまり欲張ってもいけませんが。

和田:
 母子家庭の問題を考える時は、同時に父子家庭の問題も忘れずに考えていかないといけませんね。

円:
 例えば、在宅就労の時にパソコンが必要なわけですが、その初期費用を貸与するような、そういうようなことを国の方からできないかなと思いますね。

和田:
 何もパソコンも最新型である必要はないですから、企業などのご協力を得てリサイクルといったことも考えてもよいですね。ある民間企業のご協力で、そうしていただいたことがありました。

円:
 そうなんです。

丹羽:
 そうですね。国、地方、企業のなんらかのかたちの協力があって然るべきかと思います。いずれにしましても、最近、ニュースを見ていますとぞっとするようなニュースが多くて、あまりニュースを見たくなくなる時もありますが、やはり非常にご苦労されている母子家庭の方々に対して、私ども光を当てていくべきです。
 政治というものは、そんなに冷たいものじゃないんだと、温かい部分があるんだということを、私どもは議連を通して、メッセージを示していく必要があると思います。

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